4大大会優勝なるか
6月のウィンブルドンでは惜しくも準決勝で敗退したが、今年のプロ・スポーツ界で予想以上の活躍を見せているMVP選手と言えば、F1のジェンソン・バトン(29)か、このテニスのアンディ・マリー(22)だろう。
2005年にプロ・デビューし、通算12勝。4大大会では、昨年のUSオープン決勝進出が最高成績だが、カタール・オープン、ABNアムロ世界トーナメント、マイアミ・マスターズ、クイーンズと今季既に4勝を挙げ、現在、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)の鉄壁の両頭に次いで、男子ランキング3位。
だが、グラスゴー出身のスコティッシュ、マリーがマスコミから度々蒸し返されることといえば、3年前のサッカー・ワールド・カップでのコメント「応援するならイングランド以外」。ジョークで言ったつもりが、「アンチ・イングリッシュの差別者」と噛みつかれ、自身のブログにも抗議メールが殺到。「ボクの彼女はイングリッシュだし、友達もたくさんいる。今住んでるロンドンも大好き」と、「イングリッシュ嫌い」撤回に躍起だ。
もう一つ、テニス以外のマリーのエピソードといえば、1996年の「ダンブレーン事件」。マリーが通っていた小学校で児童16人、教員1人が射殺された大量無差別殺人で、当時8歳だった彼は、2つ上の兄と共に、校長室の机の下に隠れて難を逃がれたという。
引退した先輩ティム・ヘンマンと同じく、歯並びが悪いのが致命傷の華やかさに欠ける容貌だが、来週のUSオープンで優勝でもすれば、女性ファンもグっと増えるはず。30年代に活躍したフレッド・ペリー以来、4大大会での男子シングルス優勝がない英国。悲願達成なるか。