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ロンドンのゲストハウス
Sat, 17 August 2019

英国の口福を探して 100回記念 英国流 夏の味わい方

冷たいデザート、元気が出るスタミナ料理など、英国文化がぎゅっとつまった夏の味覚を皆さんはどのくらいご存知でしょうか。今回は、弊誌のコラム「英国の口福を探して」の100回掲載を記念し、英国料理について執筆されているマクギネス真美さんに、夏の食べ物にまつわるエピソードや、在英歴の長い方なら変化を感じているかもしれない近年の英国の食事情について、お話を伺ってみました。

マクギネス真美 マクギネス真美
Mami McGuinness

英国在住の編集&ライター。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年渡英。以降、英国を拠点に、ライフスタイル、ガーデニング、食などの取材、執筆を行う。英国料理の師は義母。
mamimcguinness.com

英国の夏らしい食べ物とは?

旬の果物をふんだんに使ったデザートや、ビールを飲みながら食べるバーベキューなど、短い夏をさらに素敵に演出してくれるお勧めの食べ物を聞いてみました。選び抜かれた口福たちは、眼福をも与えてくれるものばかりです。「名前は知ってるけど食べたことない」一品があったら、ぜひ挑戦してみてください。

グーズベリー・フール
Gooseberry Fool

グーズベリー・フール

涼しい気候でもよく育つグーズベリーは、夏が旬の果物です。サバなどの魚料理に合わせるレシピもありますが、この季節には、見た目も涼しげなフールを作ってみてはいかがですか。ダブル・クリームにエルダーフラワー・コーディアルを混ぜて泡立てたものを、ピュレ状にしたグーズベリーと一緒にガラスの器に盛り付ければ、おもてなしにもぴったりです。何より作るのが簡単なのがうれしいところ。そして、ヴィクトリア時代から人気だったという歴史あるデザートでもあるので、話のタネにもなります。最近、生のグーズベリーは入手しにくいので、缶詰を利用しても。

サマー・プディング
Summer Pudding

サマー・プディング

強い日差しときらきらと輝く緑がまぶしい英国の夏。その「夏」を冠したこのお菓子は、食パンを敷いた型に、砂糖で煮たラズベリーや赤スグリ、ブラックベリーなどを詰め込み、重しをして一晩冷蔵庫で冷やしたものです。果汁でルビー色に染め上がった食パンの周りにもベリー類を飾れば、見た目もゴージャスになります。食パンとフルーツの組み合わせなので、バターや卵をたっぷり使ったケーキ類よりもヘルシー。実際、19世紀までは、高脂肪の食事を避けた療養中の人々の食べ物だったそうです。オーブンを使う必要がないのも、夏にはありがたいですね。

ニッカーボッカー・グローリー
Knickerbocker Glory

ニッカーボッカー・グローリー

名前だけでは一体どんなものか想像もつきませんが、これは長いガラス容器にアイスクリームとフルーツ、生クリームが入った、日本のパフェに近いデザート。多くの英国人にとっては、子供時代の夏のホリデーを思い出させる、ノスタルジックな食べ物のようです。ずっと食べてみたかったものの、海辺のアイスクリーム屋さんではなかなか見つけられず。結局、私の初「ニッカーボッカー・グローリー」体験は、ロンドンのフォートナム&メイソンでした。同店では1955年からメニューに載っているそうです。ただし、現在のお値段はなんと13ポンド(!)です。

ピッカリリ
Piccalilli

ピッカリリ

ド派手な蛍光イエローの瓶詰めピッカリリは、カリフラワーやキュウリ、ニンジンやインゲンなどの野菜を、酢、マスタード、ターメリックなどと混ぜ合わせてピクルス状にしたもの。コールド・ミートにチーズといった、気軽な夏のランチには欠かせない付け合わせです。ただ、市販のものは、どろりとした黄色いペンキに混ざったよう な見た目が気になって、実はなかなか手が出せませんでした。でも、ロンドン東部、ブロードウェイ・マーケットのニュートン&ポットで売られているポッシュ・ピッカリリは、野菜の色も彩りよく、ヴィジュアル的にも○。お勧めです。

バーベキュー
BBQ

BBQ

「クラシック・ブリティッシュ・バーベキュー」といえば、雨の中でのBBQ。天気が変わりやすく、にわか雨の多いこの国では、BBQ中に雨が降ることも珍しくありません。それでも気にせずBBQにいそしむのが英国流。一口大に切った肉と野菜を串刺しにしたケバブも焼きますが、メインはやっぱりバーガーとソーセージ。真っ黒に焦げたソーセージを初めて見た時にはぎょっとしましたが、今ではこれが英国のBBQと納得して、おいしく(?)いただいています。天気さえ良ければ、ウィークデーでもBBQするのが英国人。BBQは英国の夏の風物詩でもあります。

マクギネスさんに聞いてみた 気になる食のあれこれ

「おいしいものがない」なんて言われていた英国料理はもう過去の話。近年のグローバル化は食の世界にもポジティブな影響を与えているようです。そんな最近の食事情についてや、この夏ショート・トリップを兼ねて挑戦してみたい果物狩り「ピック・ユア・オウン」体験についても聞いてみました。

マクギネスさんが感じる英国の食の変化について教えてください。

英国に住んで気付いたのは、ここでは常に新しい食のトレンドが登場するのと同時に、人々が新しい食べ物にチャンレンジするのを厭わないということです。近年では、ヴィーガン食が注目されるようになり、レストランでもスーパーのレディー・ミールでも、ヴィーガン食品を簡単に食べられるのが一例です。

私が渡英した当時は、中華やインド料理に加え、既にイタリアンやメキシカンなどは一般的でした。ここ数年の間には、タイ・カレー、カツカレーや餃子までもがレディー・ミールに加わり、外食だけでなく、家庭の食卓にも、こうした世界各地の料理が並ぶようになりました。また近頃では、柚子果汁、パン粉、抹茶、味噌といった日本の食材もスーパーで買えるようになったのには驚きです。これらは、数多いテレビの料理番組でセレブ・シェフたちが紹介したことや、ロンドンを始め、英国内のレストランに世界各地からのシェフが流入してきた影響もあるでしょう。あるいは、世界を旅してきたシェフたちが、その経験を基に、新たな食材を紹介することも盛んになっていると思います。

一方で、サンデー・ローストやフィッシュ&チップス、パイといった、昔から好まれてきた料理は今でも人気健在です。

サンデー・ロースト

こうした英国の伝統料理が食べたければパブに行くと良いと言われますが、かつては、冷凍品をオーブンや電子レンジに入れただけ(?)といったクオリティーの低いものも少なくありませんでした(これが、観光客に「やっぱり英国料理はまずい」と思わせてしまう一因だったかも?)。

それが、1990年代からガストロ・パブが登場し、腕利きのシェフが英国産の食材を使って料理するというこだわりのお店が増えて、英国料理の質が底上げされたと思います。

また、クラフト・ビールをきっかけに、今ではジンやジュースまでも、品質と個性にこだわった小規模生産者の飲み物が目白押し。パブやレストランだけでなく、一般のスーパーでもこうした商品が買えるようになったのも大きな変化です。

「ピック・ユア・オウン」体験って何でしょうか。

「ピック・ユア・オウン」(PYO)とは、イチゴやラズベリーなどの果物、あるいはミニ・トマトやズッキーニといった野菜を、農園に行って自分自身で収穫することをいいます。日本のイチゴ狩りに似ているようですが、違うのは、その場で収穫物を食べてはいけないというところです。もちろん、一つや二つ味見をするのはアリですが、お腹いっぱいになるまで食べるというのは禁止です。

ピック・ユア・オウン

PYOのできる農園は、スコットランドも含め、英国全土にあります。大抵のファームでは、入場料を支払う必要はありません。その代わり、出口のところで収穫した作物の重さを量り、その分の料金だけ支払うというのが一般的なシステム。以前、私が取材した農場のオーナーの方の話では、英国でPYOが始まったのは1960年代で、70~80年代にかけて特に盛んだったそうです。

PYOの良いところは、程よく熟した食べごろの果物や野菜を、自分の目で確かめて、自分の手で収穫できるというので食材への安心感が持てる点ですね。また、スーパーで買ってくるのとは違う、味の濃いラズベリーを食べてみれば、英国の食材がいかにおいしいかを実感できます。

PYOは、まさに7月初旬の今が収穫物の種類も多く、最も楽しめる時期。お子さんのいる方には特に、夏休みのお出掛けにお勧めですよ。 

 
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