「これがほんまのソウル・シンガー」
リリースしたのが今年3月とちょっと前だが、アッシャー(32)の「OMG」をご存知だろうか。「ブラック・アイド・ピーズ」のウィル・アイ・アムが手掛け、曲中でもラップで参加している、あの米英ナンバー1ヒットだ。じゃなければ、白人ラッパー、ピットブルをフィーチャーした最近のシングル「DJゴット・アス・フォーリン・イン・ラブ」はどうだろう。いずれも、馴染みやすくて新味のあるフレーズと、アッシャーのサラッとした色気のあるソフト・ボイスの、一度聴いたら耳から離れない「上手いっ!」曲だ。
普通、平のフレーズにサビが1つか、大サビ、小サビの2つくらいがパターンなのに、全フレーズのどこを切ってもバラ売りできそうな多様な曲進行とボーカル・スタイルで出来ている。2、3曲作れるところを1曲に凝縮した、言うならばウニ、カニ、アワビと各自で成立するのに、海鮮丼として一つにまとめたような贅沢さ。キャビア、フォアグラ、トリュフでもいい。それもテンコ盛り。さすがはデビューして16年、これまで世界で4500万枚のアルバムを売った、米R & B界を代表する超(スーパー・)スターだけある。「ビルボード」誌が選んだ2000年代を代表するアーティスト及びアルバム(「コンフェッションズ」)、シングル(「ヤー!」)の各部門で堂々の2位に輝いている。
私生活では、昨年、結婚生活わずか2年で妻タメカと離婚。その4カ月前に、夫の知らぬところでタメカがブラジルで整形手術中に心臓発作を起こしていたことが発覚している。1万足以上の靴コレクションを持つ、「サン」紙いわく「これがほんまのソウル(sole)・シンガーや〜」(彦摩呂風に)のアッシャー(「足や」)。細身長身にエラ張り、長い鼻にミジンコ(シジミ?)目が、イチロー選手に似ているのだった。