「シッ●ホール」発言で波紋 彼女の辞書から「ストリーサム」が消えた
先月、常連のクイズ・ショー「ハヴ・アイ・ゴット・ニュース・フォー・ユー」に出演したコメディエンヌのジョー・ブランド(54)。番組中、10年前にロンドン随一の最悪の通りに選ばれたことのあるストリーサム大通りを指摘しながら、ロンドン南部のランベス特別区ストリーサムを「シッ●ホール」だから「行っちゃダメ」とコメントしたことで、同区役所役員の女性から苦情の手紙を頂戴してしまった。「いい街づくり」に邁進してきた我々の努力に「大いに水を差した」というわけだ。
これに対してブランド側は、「ジョーク以外のほかにない。ご当地ネタはツアーでも使っているが、今まで苦情は一度も来なかった。大概の人は自分の住んでいる場所に、ツッコミのセンスを持ち合わせているものですけど……」とひと刺ししつつ、「今後、このような形でストリーサムを貶めることはしない」と謝罪。これで、ケン・リビングストン前ロンドン市長やモデルのナオミ・キャンベル、「007」俳優のロジャー・ムーアなどを元住人に持つ街の名が、ブランドの「辞書」から消えてしまった。やれやれ、「笑い」とは難しいものだ。
ところでブランド本人は、ストリーサムからわずか数キロ離れたサザーク特別区の「緑豊かな」ダリッチの住民。バフタ賞と英国コメディー賞の双方で、2010年度の最優秀コメディー女優に選ばれた英国を代表するコメディエンヌだが、現在はトドのように太ったギョロ目のおばさんも、昔は痩身の超美少女だったという。上流階級出ジャンキーに恋をし16歳で家を出て以来、しばし人生彷徨っていた彼女は、29歳でスタンダップ・デビューするまで10年間、精神科の看護士として従事。このときの経験が辛らつ(アシッド)ではなく円熟(メロウ)したジョークの語り口に多少影響しているかもしれない。著書も多く、滋味あるユーモアがしみる。