注目、田舎暮らしのエリート集団
前々号のレベッカ・ブルックス、前号のウェンディ・マードックに続いてしつこいようだが、今回も廃刊「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」紙の盗聴事件がらみのネタを。一連の報道で、しばしば目についた言葉「チッピング・ノートン・セット(CNS)」。コッツウォルズ地方の代表的な観光地の一つである古いマーケット・タウン、チッピング・ノートン辺りに住む政・メディア界のエリート・グループを指す。やっかみを含んで、枕詞に「クリーク(排他的)」なんて表現する新聞もあった。
このCNSを代表し、先の盗聴事件と関わり深いのが、キャメロン首相にルパート・マードックの娘エリザベス、そして、ニューズ・インターナショナル社(NI)の元最高経営責任者、レベッカ・ブルックスのトリオ。まず、10年前に住人になったキャメロン首相。当初、メジャー政権下で内相を務めた保守党ジョン・ガマー上院議員の親族から借りた田舎屋に住んでいたが、後に郊外のディーン村にファームハウスを購入している。2番手は、マールバラ公から借家した後、9億円豪邸を買ったエリザベスと夫マシュー・フロイト。精神分析学者フロイトのひ孫に当たるマシューは、NIの受益企業でもあるPR会社の社長を務める。改築納屋に住んでいる3人目のブルックスも、今の夫と再婚する前からCNSメンバー。夫は地元の名家出身、首相家族と昵懇(じっこん)なのはつとに有名だ。
ほかにジェレミー・クラークソンやルビー・ワックス、ケイト・モス、ブラーのメンバー兼チーズ業者アレックス・ジェームスなど挙げればきりがない。売れっ子芸能人が住む場所と騒がれたロンドンのプリムローズ・ヒルは、政権交代で色あせた。都会を捨てて田舎へゴーとばかり、俄然CNSが注目を浴びるのだった。