なにしろセカンド・アルバム「21」が、米「ビルボード」誌チャートで通算12週1位、UKチャート同13週1位を記録し、世界で800万枚をセールス。1枚目「19」は、米グラミー賞で最優秀新人とポップ女性歌手を受賞し、名実共に最高峰、笑いが止まらぬ1人勝ち状態の英シンガー・ソングライター、アデル(23)。
ヒットしたのは、やれ「カントリー音楽とブルース・フレーバーのある米国人好みの曲調」にあるだの、「声量あるハスキー・ボイス」にあるだのと巷では言われているが、個人的には「ウ〜の法則」がヒットの最大の要因であると考える(強引過ぎるが)。
「21」のロング・セラーの牽引となったシングル・カット「サムワン・ライク・ユー」を聴いてほしい。♪サムワン・ライク・ユゥ・〜♪、♪〜フォー・ユゥ・ー・トゥ・ー♪と、感極まる大サビの部分で「ウ〜」の節回し。例えが非常に古いが、この「ウ」音の長音符は、北島三郎の「与作」(1978)での名サビ「よさくゥ〜、よ〜さ〜くゥ〜」や、由紀さおり「夜明けのスキャット」(1969)の出だし「るゥーるゥーるゥーるゥー」のように、歌に酔う魔法の母音。試しに、母音「あいうえお」を「あ〜い〜う〜え〜お〜」とできるだけ長くのばして言ってみてほしい。「う〜」のときに口がすぼむと同時に、眉間にシワが寄り、目が細くなるのが分かるはず。ここで思い切って目を閉じ、音程を変えながら「う〜」と唸ると、心地良く自分に酔ってくるはず。
米「ヴォーグ」誌編集長アナ・ウィンターがスタイリングの手助けをしたことによって、俄然ファッションに目覚めたというアデルは、デビュー当時と比べ、ルックスのコンセプトが明白になって断然◎。バラードでの「ウ〜の法則」さえ守れば、この先、人気継続は間違いない!?