環境問題の一環として、食物にも気を配る人が増えている。買うのはもっぱらオーガニック・フード。居住地域で生産されたものしか口にしない「ロカヴォア(Locavore)」を名乗るエコロジストまで現れた。彼らの信念の核を成すのが、「フードマイル(food miles)」という考え方。しかし、これって本当にエコなのか?食欲の秋を迎えた今、人と地球に優しい食生活を改めて考えてみよう。(サイトウ・ケイナ)
食べ物の輸送された総距離 X 輸送された食べ物の重量
フードマイルとは
今日のあなたの晩ご飯、一体どのくらいの距離を経てそのお皿までやって来たか、想像できるだろうか。例えば、メインのお肉はニュージーランド、付け合せの野菜はスペイン産で、食後のフルーツは南アフリカから、という具合。スーパーで買う冷凍食品やパブで食べる料理の中には、さらなる長旅を強いられてきたものもあるというから驚きだ。
「フードマイル」はこのように、ある食物がその生産地から消費者の口に運ばれるまでの移動距離に着目した考え方。90年代に、現シティ大学教授で消費者運動家のティム・ラング氏が提唱し、食品製造が及ぼす環境問題や社会・経済問題への影響を、それまで見落とされがちであった輸送距離という観点から単純化して一般に示したことで注目された。以降、マークス・アンド・スペンサーやテスコといった英国の大手スーパーが、環境問題への企業努力として、野菜や果物のパッケージにフードマイルについての表示をするなど、フードマイルは消費者のエコ志向の高まりと共に広く認知されてきたのだ。
フードマイルの落とし穴?!
環境問題を考慮すると、自宅の近くで採れた食材を買うか、究極的には自給自足の生活をするのが一番で、遠く離れたケニアの地で育ったインゲンなんてもってのほか、ということになる。実際にこの考え方を自らの食生活に適用する環境保護活動家もおり、彼らは「ロカヴォア(Locavore)」と呼ばれる。ある土地で生産されたものをそこで消費する「地産地消」こそがエコなのだ、という主張だ。
ところが、何でもかんでも地域農家で育てれば良いのかというと、それは大間違い。トマトを例にとって考えてみよう。英国内で消費されるトマト、英国産とスペイン産ではどちらが地球に「優しい」か ─ はい、答えはスペイン産。フードマイルは確実にスペイン産の方が大きいのに……と疑問に思ったあなたは「偽エコの罠」に要注意だ。
「適地適作」という言葉がある。読んで字の如く、その土地ごとに栽培に適した作物があるということ。というわけで、上の例では、英国の気候条件がトマト栽培に適さないことが鍵だ。英国のほとんどの地域では、トマト作りを温室栽培に頼らざるを得ない。実はこの温室栽培に必要なエネルギーは、スペインからのトラック輸送で消費されるそれよりも、はるかに大きいのだ。同様に、レタスを旬ではない時期に英国内で作ろうとした場合、結果的にスペインから輸入するよりも多くの温室効果ガス(二酸化炭素など)を排出することになってしまう。
トマト以外についても、ぜひ生産方法に注目されたい。なんと英国産の羊肉よりも、はるか1万1000マイル(約1万7700キロ)もの旅路を船でやってきたニュージーランド産羊肉の方が、環境負荷は少ないというのだ。これは、ニュージーランドの農家が英国内の農家に比べてより少ない肥料を用い、より効率良くエネルギーを使って羊を育てているため。それゆえ、その温室効果ガスの総排出量が、結果的に輸送で生じる温室効果ガスの排出量を下回ることになるそうだ。先のケニヤ産インゲンも然り。ケニアの産地では、トラクターなどは使わず昔ながらの手作業で栽培や収穫を行っているため、石油系の肥料やディーゼル・トラクターなどを駆使して作られる英国産の同品よりも、環境への負担は総合的に少なく済んでいる。ところが、栽培にエネルギーを要しない旬の英国産野菜と比べた場合には、空輸されたケニア産の方が20倍もの温室効果ガスを出していることもある。輸送方法もポイントだ。同じ商品でも、空輸した場合の温室効果ガス排出量は、船輸送の約177倍にも上ると言われる。
そして、店頭に並ぶまでの保存方法にも留意する必要がある。せっかく英国内で採れたオーガニックのリンゴであっても、そのほとんどが店頭や倉庫で最長1年間も冷蔵保存されている。冷蔵・冷凍保存には莫大なエネルギーが消費され、温室効果ガスが排出される。それなら旬のニュージーランド産リンゴを船で運んだ方がエコロジカルなのだ。
さらに、ことには立場を変えた視点、人道的、世界経済的な視点も求められる。アフリカには、英国のような先進国に作物を空輸することで、どうにか生活をしている人々が100万人以上いる。フードマイルばかりが強調され、環境のために輸入品の不買運動をすれば良いという単純な考え方が広まると、そうした貧困国の経済を圧迫することにもなりかねないのだ。
食物を「ゆりかごから墓場まで」 で考える
このように、食品消費にかかわる環境負荷を考える場合、フードマイルだけにとらわれていては誤りの元となる。食品の生産から輸送、販売、消費、廃棄、再利用までの、すべての過程で必要とされるエネルギーや材料、排出される温室効果ガスなどの大気汚染物質や廃棄物の量といったあらゆる環境負荷、つまり「ライフサイクル・コスト」を考慮すべきなのだ。この考え方は、限られた資源を効率的に活用しながら人間の活動と地球環境の調和を図る「循環型・持続型社会」を目指したもの。食ベ物に限らず、人間によって作られるすべての製品やサービスに適用され、それぞれのライフサイクル・コストは、温室効果ガスの総排出量などさまざまな観点から専門的に評価される(ライフサイクル・アセスメント)。
しかし、食品におけるライフサイクル・アセスメントは、その複雑さに難点がある。特に加工食品、例えば、さまざまな具が乗ったピザは一つ一つの具材の軌跡をたどるのが難しく、評価は困難を極める。商品にフードマイルを表示していた先のテスコでも、ライフサイクル・コストに視点を移し、近いうちに商品製造で生じた温室効果ガスの排出量の表示に切り替えるよう検討しているというが、やはり表示が可能な商品は限られるようだ。
購入後もライフサイクルのうち
食物のライフサイクルを考える際に忘れてはいけないのが、食材を買って家に持ち帰ってからのこと。その食材の一生は完全に消費されるまで、もしくは廃棄・リサイクルされるまで続くのだ。くどいようだが、新鮮な旬の国産野菜を買っても、自宅の冷蔵庫で不必要に長期保存したり、うっかり腐らせてゴミ箱へ直行させてしまったり……ということでは元も子もない。
それだけではない。食材をどう調理するかも、そのライフサイクル・アセスメントにかかわる大切な部分であることをお忘れなく。例えば煮豆の缶詰。天日干ししただけの乾燥豆の方が、調理済みの缶詰よりも環境に負担をかけずに店頭までやってきただろう。ところが、だ。いざ乾燥豆を買って自宅の台所で煮豆を作ろうとすると、これが意外にたくさんのエネルギーを食う。工場で一度に大量の豆を調理する方がエネルギーは効率良く使われるため、食卓に並ぶ段では、皮肉にも缶詰煮豆に軍配が上がるのだ。
最もエコなお買い物は「地域の旬モノ」「肉・車ナシ」!
さて、私たちの買い物の手段は、食品のライフサイクル・アセスメントに影響を与えないのか。そんなはずはない。フードマイルを考えたら、自宅から近いファーマーズ・マーケットで買うのが良いはずだ。しかし、そこへ自家用車で出掛けたとしたら意味がないのでは……。自分は家から動かずに、契約農家のオーガニック食材を毎週宅配してもらったらどうだろう。買い物に出る回数を減らす代わりに、車でスーパーに行って大量に買いだめしたら?
考え始めると頭がクラクラするが、これまで見てきた通り、食を取り巻く環境問題は非常に複雑だ。あちらを立てればこちらが立たずで、一般消費者である私たちは右往左往。良かれと思ってしていたことが実は逆の結果を招いていた、ということにもなりかねない。
それではつまるところ、地球環境の保護のためには、日常の食生活で何をどう実践するのが一番良いのか。現在のところ、専門家らの意見が一致しているのは「地域の旬のもの(できればオーガニック)を食べる」、「肉や乳製品を控える」(※下記コラム①②参照)、「買い物で自家用車を利用しない」ということだ。
旬のものは複雑な調理をしなくても美味しい上に、栄養価も抜群に高い。これからの季節は根菜類が旬。季節の食べ物を必要なだけ摂るという、昔から当然とされてきたシンプルなスタイルこそが、現代人のための最も理に適った食生活のお手本なのではないか。
(参考資料:農林水産省、英環境食糧農林省(Defra)、欧州委員会、カーボン・トラスト、国連食糧農業機関、BBC、「ガーディアン」紙ほか)
お肉と乳製品はエコの敵!
牛肉の生産は、他のいかなる食べ物の生産や輸送方法と比べても、最も大きなダメージを環境に与える。牛から採れる牛乳やそれを加工したチーズも、赤身肉と同様にNGだ。牛のゲップが大量のメタンガス(温室効果ガスの一つ)を排出するというのは有名な話。それに加えて、英国では家畜の飼料をはるばるブラジルや米国から輸入している。しかも、それはもとをたどればケニヤ産だというから、とんでもない。
週に1度はお肉を我慢
ある学者の研究によると、1年間で週にたった1回、メイン・ディッシュを牛肉ではなく野菜にするだけで、車が1860キロ走るのに必要なエネルギーを節約できることになるという。野菜が無理なら、チキンに替えるだけでも効果は大きいとのこと。
ベジタリアンの食生活はエコじゃない?!
ヘルシーでエコなイメージを持つ菜食主義。でも、同じサラダを一年中食べられるのはなぜか考えて欲しい。そう、その野菜のほとんどが地球にダメージを与える温室栽培や空輸によるもの。英国内で消費される野菜の50パーセント、果物に到ってはなんと95パーセン トが輸入品だという。

フードマイルだけでエコを語るべからず。食物のライフサイクル全体から判断しよう。
生産方法は?
「適地適作」かチェック。温室栽培は国外からの輸送よりもエネルギーを必要とする。農作業は機械、それとも手作業?
輸送方法は?
飛行機より船がベター。空輸は他のどんな輸送手段よりも二酸化炭素の排出量が多く、環境への負担は海上輸送の150~180倍。買い物へは車ではなく徒歩か自転車で。英国に住む成人は、食品の買い物のために年間平均135マイル(217.3キロ)も自家用車を走らせている。スーパーやオーガニック食材店のデリバリー・サービスも考えもの。
保存方法は?
冷蔵や冷凍による長期保存は環境へのダメージ大。
購入後は?
一般家庭での食材の冷蔵・冷凍保存はもちろん、調理時にもエネルギーが使われることをお忘れなく。


これからの季節は何が旬?下記サイトのレシピを参考に、英国の野菜や果物を使った料理にもチャレンジしよう!
![]()
その名も「eat the seasons」。毎週水曜日に旬の食べ物情報を更新する、英国各紙で紹介された有名なウェブサイト。
www.eattheseasons.co.uk
BBCの食に関するページ。レシピも豊富。
www.bbc.co.uk/food/in_season
英国児童のための教育チャリティー団体「The Woodcraft Folk」のウェブサイト。子ども向けに環境問題が詳しく説明されている。
www.sustnable.org.uk
![]()
| 9月 | ナス、キャベツ、レタス、ケール、人参、カリフラワー、キュウリ、トマト、マッシュルーム、玉ねぎ、ほうれん草、エンドウマメ、サヤインゲン、ピーマン、パプリカ、パースニップ、ジャガイモ、かぼちゃ、スイートコーン、リンゴ、ブラックベリー、ラズベリー、エルダーベリー、ルバーブ、洋なし、 桃、メロン、ブドウ、いちじく |
| 10月 | ナス、ビートルート、キャベツ、レタス、人参、カリフラワー、ズッキーニ、かぼちゃ、マッシュルーム、パースニップ、ジャガイモ、リンゴ、ブドウ |
| 11月 | キャベツ、かぼちゃ、スウィード、カリフラワー、ジャガイモ、パースニップ、ポロねぎ、ビートルート、栗、クランベリー、洋なし、マルメロ |
| 12月 | セロリ、キャベツ、赤キャベツ、カリフラワー、セルリアック、かぼちゃ、ビートルート、かぶ、パースニップ、芽キャベツ、洋なし |
(情報は上記各ウェブサイトより一部抜粋)

細かいことはひとまず置いて、できることからコツコツと。ロンドン市内でもたくさんのファーマーズ・マーケットが開かれている。さっそく足を運んでみよう。
The National Farmers' Retail & Markets Association (FARMA)
全国規模でファーマーズ・マーケットを運営・進行する協会団体。全国のマーケット主催者が登録しており、スコットランド、イングランド、ウェールズ内の情報がこのウェブサイトから得られる。入り口にFARMAマークがあれば、そのマーケッ トはお墨付き。
Tel: 0845 458 8420
www.farmersmarkets.net
London Farmers' Markets (LFM)
ロンドン市内でファーマーズ・マーケットを主催する団体。市内15カ所で開かれるマーケットの情報を調べることができる。
Tel: 020 7833 0338
www.lfm.org.uk
1. Blackheath
駅に隣接した駐車場が会場。地元密着型でのんびりした雰囲気のマーケット。
日曜10:00-14:00
Blackheath Rail Station Car Park, 2 Blackheath Village SE3
最寄駅: Blackheath駅
バス: 54、89、108、202、380
2. Marylebone
オックスフォード・ストリートに近く、出店数も人出の多さもダントツ。
日曜10:00-14:00
Cramer Street Car Park W1
最寄駅: Baker Street駅 / Bond Street駅
3. Pimlico Road
規模の大きさの割に雰囲気は落ち着いており、ゆっくり買い物を楽しめる。
土曜 9:00-13:00
Orange Square SW1
最寄駅: Sloane Square駅
バス: 211、11、239
4. Ealing
ロンドンで唯一の路上ファーマーズ・ マーケット。
土曜9:00-13:00
Leeland Road, West Ealing W13
最寄駅: West Ealing駅
バス:207、607、208、83
5. Islington
1999年、ロンドンで初めて開かれたファーマーズ・マーケットがここ。
日曜10:00-14:00
William Tyndale School, Upper Street Islington N1
最寄駅: Angel駅
6. Notting Hill
ロンドンで最も大きなマーケットの一つ。オーガニック商品を扱うストール が多い。
土曜9:00-13:00
書店Waterstones裏の駐車場にて
最寄駅: Notting Hill Gate駅
7. Clapham
地域住民による長年の熱い要望に応えてついに開かれたというマーケット。
日曜10:00-14:00
Bonneville Primary School Bonneville Gardens SW4
最寄駅: Clapham South駅
8. Acton
オーガニック食材や新鮮な魚介類が揃う。ハーブや花類のストールも豊富。
土曜 9:00-13:00
Public Square on Acton High Street King Street W3
最寄駅: Acton Town / Ealing Common駅
9. Twickenham
会場はショッピング街に近く、週末のお買い物に便利。
土曜9:00-13:00
Holly Road Car Park, Holly Road off King St, Twickenham TW1
最寄駅: Twickenham駅
10. Wimbledon Park
ウィンブルドンの地元住民から愛され続けている、地域密着型マーケット。
土曜9:00-13:00 Wimbledon Park First School Havana Road SW19
最寄駅: Wimbledon Park駅

週末のファーマーズ・マーケット を逃してしまった!でも環境に優しいお買い物がしたい!それなら、お散歩がてら近所のエコなお店を探してみては?
Cheshire Food
リンゴや、国内最古と言われるチーズで有名な、イングランド北西部チェシャー州で生産された食品だけを揃えている。同州を中心に約20店舗を展開。ウェブサイトにはチェシャーの旬な食材のカレンダーも。
www.cheshirefood.co.uk
The co-operative food
国内最大の「農家」である同店は、フェアトレード商品の取扱数も国内最多。
Tel: 0800 068 6727
www.co-operative.coop
EARTH natural foods
Kentish Town Road沿い、地下鉄Camden Town駅から徒歩5分、Kentish Townからは2分に位置するオーガニック食品店。
Tel: 020 7482 2211
www.earthnaturalfoods.co.uk
Planet Organic
国内最大のオーガニック商品専門店。ロンドンに5店舗を構えている。 www.planetorganic.com
Fresh and Wild
北米と英国に全270店舗を展開する、エコ志向の食品店。
Tel: 020 7368 4500
www.wholefoodsmarket.com
The Grocery
様々な食品からペット・フード、自然療法に基づく医薬品などが揃う。
Tel: 020 7729 6855
www.thegroceryshop.co.uk



在留届は提出しましたか?









低所得層の居住区に低予算で建てられた保育園だが、国内では他に類を見ない衝撃吸収効果のあるゴム材を用いた屋上の遊び場を持つユニーク設計で、2007年のRIBA(王立英国建築家協会)アワードを始め数多くの賞を受賞。館内のフロアもスライディング・パネルの仕切りによって50パターンの使い方ができるなど、フレキシブルでアイデア満載のつくりになっている。
閉鎖されたショーディッチの鉄道高架に廃棄処分の地下鉄車両を搬入し、アーティストのスタジオとして再利用。内装に持続可能な建築材を用いるなど、環境保護に十分配慮した設計だ。夏場にはライブやアウトドア・シネマなどのイベントが行われるほか、高架下のウェアハウスでは常時クラブ・イベントやファッション・ショーなどを開催している。
生後6カ月から5歳までの幼児や児童のために開かれた複合施設。幼稚園、レセプション、養護学校を併設しており、各種アクティビティや母親のためのコースも充実している。異素材を効果的に配した有機的なデザインで、自然光の取り入れ方も見事。子どもたちの発想力を高めてくれそうな空間が実現している。
2006年新設の、生徒数1175人の中等学校で、校舎は翌07年に完成。緑が基調の鮮やかな配色が目を引く建物の内外には、環境汚染の原因となるストームウォーター軽減機能や、自然換気による温度調節を実現するコンクリート材の利用など、数多くのエコ機能が搭載されている。2008年RIBAアワード受賞。
ノーマン・フォスター卿設計のロンドン市庁舎。この、卵とも筍とも見紛う不思議なフォルムが、実は自然の断熱や換気を可能にしている。加えて、コンピューターや照明器具の使用から生じる熱の再利用などで温度調節を図っているほか、節水機能や太陽光発電装置も備えるなど、隅々までエコ・フレンドリー。環境保護対策を公約に掲げている市長も満足に違いない。
1861年に創設されたドイツ体操協会の本拠地で、世界で最も古い近代オリンピックの一つとして数えられる1866年大会では、ほとんどの体操競技がここで行われた。木の合板を用いたアーチ状の梁は、キングス・クロス駅の設計の原型として知られる。現在はビジター・センターとして機能しているが、開発が進む周辺地区のなかで、やや異色の存在感を放っている。
1930年代に次々と建造された映画興行チェーン、「グラナダ・シネマ」は、伝統的な装飾をふんだんに施した壮麗なインテリアで知られる。1937年建造のこの建物もその一つで、超豪華シネマ、トゥーティングのグラナダと同様、ロシア人の舞台監督兼デザイナー、セオドア・コミサルジェフスキーが館内装飾を手掛けている。現在は娯楽産業チェーン、「ガラ・ビンゴ・クラブ」のホールとして営業中。
ラッセル・スクエア駅からすぐの裏通りに佇む1797年建造の小さな古びた馬小屋は、なんと国内外のアンダーグラウ ンド・カルチャーを発信する、会員制のアート・ヴェニューだった。レアでアヴァンギャルドな映画や音楽、アート関連のイベントを定期的に開催。ヴィンテージ服の宝庫でもあり、膨大なストリート・ファッションのコレクションを誇っている。
優れた建築に与えられる評価基準の一つ、「グレードⅡ」に認定されている、優美なアールデコ建築の元映画館は、現在、ゾロアスター教の欧州本部センターとなっている。ゾロアスター教とは古代ペルシアで発祥し、世界三大宗教にも影響を与えたとされる、世界最古の宗教の一つ。そう聞くと、アールデコの幾何学的なデザインがどことなく神秘的に見えてくるような……。

貧乏学生だ、まとまった休みが取れない、寒い……。そんな寂しい想いで夏を過ごしている人は多いはず。とはいえ、年に一度しか来ない太陽の季節を満喫するためには、「でも」なんて問答無用。そこで今回は、「キング・オブ・夏の楽園」であるハワイへ読者の皆さんをご招待。ロンドンにあるバーチャル・ハワイをご堪能あれ! (本誌編集部: 國近絵美)


「ティキ」とは、ハワイの原住民であるポリネシアの神話に登場する、人類を創造した神たちのこと。木や石で造られたティキ像はお守りとして身に付けられているほか、置物やマグカップなどのデザインにも登場し、世界中にコレクターがいる。また、英国や米国では「ハワイアンの」という形容詞として、よく「ティキ」が使われる。例えば「ティキ・カクテル」と言えばハワイアン・カクテルのことだ。
英国で一番楽園に近い場所
ティキ・スピリット満載のセレブ御用達クラブ
抜いたパイナップルにサーブされ、ほかにもフローズン・ココナッツに入った「ココナッツ手榴弾」や、24金の飾りが付けられた宝箱に好きなシャンペンを入れて注文できる 「Armada宝箱」など、容器も中身も凝ったカクテルが勢揃い。1人用はもちろん、8人用の巨大カクテルも用意されているので、カップルでもグループでも楽しめる。
ハワイでエルビスに遭遇?!
世界各国のラム酒がずらり
心と体のコリを芯までほぐそう
癒しの極意を体と心で味わう
フラ初心者も安心のダンス・イベント
思わず呪文を唱えたくなるような怪しいゴージャスさを持つ「アブラカダブラ・レストラン」は、マハラジャ気分で豪華な食事を楽しみたい人にぴったりだ。ブースはそれぞれ異なるテーマで飾られていて、「自分好み」にするために、テレビ画面やCDが用意されている。ほかにも、ブースが置かれた床が回転する「回転テーブル」や、個室の1つ1つにテレビ画面が設置されている女子トイレなど、仕掛けがいっぱいだ。
大のオペラ好きというオーナーが、長年の夢と情熱をそのまま実現させたのがこのレストラン。オペラ劇場とアラビアン・テイストがミックスされた店内には、舞台の小道具や骨董品が至るところに並んでいる。店名の「ザラストロ」は、店長が特にお気に入りという、モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」のキャラクターに由来。劇場ならではのボックス席も再現されていて、まるで観劇しているような気分で食事が楽しめる。
「多島海(たとうかい)」と称されたレストランの内装は、金色に輝く仏陀やヤシの木などに囲まれたエキゾチックなもの。そしてこの異国情緒溢れる店内で挑戦できるのは、普段は目にすることすら稀な、いわゆる「ゲテモノ」食材だ。ワニやクジャク、カンガルーの肉は初心者向け、そして「心臓に毛が生えてます」という人にはイナゴのチリ&ガーリック炒めやサソリのチョコレート掛けなどのメニューをぜひ味わって欲しい。
「暗闇」という店名の通り、完全な暗闇の中で食事ができる。視覚障害者を支援するためのチャリティー団体が始めた同店は、現在では欧州3カ国で展開する人気ぶりだ。注文を決めたら、前の人の肩につかまって、真っ暗なレストランにいざ入室。後は目の不自由なウェイターがガイドしてくれるのに身を任せよう。ぜひ試して欲しいのはサプライズ・メニュー。味だけで何を食べているか当てるのが、実は意外と難しいことに気付くはず。
かつてはロンドンの「顔」として、観光客にも地元っ子にも愛されてきた2階建てバス「ルートマスター」。残念ながら05年に運行が中止されたこの人気者が、なんとベジタリアン・レストランに大変身した。メニューは新鮮なキノコや野菜、チーズなどを使った前菜に、野菜の天ぷらなど。25~30人の団体であれば、食事代+貸し切り代100ポンドで、気軽にパーティー用として貸し切ることができる。
どうせ冷夏を嘆くなら、思い切って氷点下の世界を体験してみては?マイナス5度に保たれた店内は、壁や椅子からグラスに至るまですべて氷で出来ている。欧州3カ国に加え、東京でも展開している人気店だ。また、年に2回がらりと内装が変わるというのも、氷という素材ならでは。現在のバーは、シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドのもとでジュエリー・デザインをしていた「デービッド&マーティン」が担当した。
アクセサリー・デザイナー兼オーナーのフィオナさんが05年にオープンさせた、アクセサリーとヴィンテージ・ドレスを扱うお店。ハワイアンな内装の店内は、50’sの匂いが漂う品揃え。レトロで上品なコルセットや帽子、そしてロカビリー・ファンには堪らない小物やアクセサリーは、ファッション雑誌でも度々取り上げられるほどの人気ぶりだ。オンラインでも注文できるので、こまめに新作アイテムをチェックしよう。
こちらも50’sがテーマとなったボーリング場。当店自慢のカクテルと軽食を楽しみながらプレーできるのが人気の秘密だ。また、「キングピン・スイート」というプライベートのイベント・スペースも隣接していて、貸し切りでパーティーを行うこともできる。40~250人収容可能というこのスペースでは、ラスベガス・スタイルのゴージャスな内装にレーンが5つ完備されている。専用のカクテル・バー2つやカラオケにDJブース、卓球やスヌーカーなどをプレーすることが出来るゲーム・ルームやケータリングも行っているという。







このエス・トレンクに一番近い街が、コロニア・サン・ ホルディ(Colonia de Sant Jordi)。この小さな街にはホテルが多く、ヨット・ハー バーや海に面したプロムナードにはのんびりとした雰囲気が漂っていて、太陽と海を満喫したい人には最適だ。ハーバー近辺にはレストランやタパス・バーなどが軒を連ねているが、ここで試していただきたいのは、やはり本場のパエリアである。



国枝選手が出場した試合には、1回戦から多数のギャラリーが詰め掛けていた
アテネのパラリンピックでは、斉田選手(写真左)と組んだダブルスで金メダルを獲得した©共同
全英オープンで優勝し、トロフィーを掲げる
国枝選手が全幅の信頼を寄せるという、丸山コーチ
世界一の速さを生み出す、抜群のチェアワーク
試合後、観客の声援に笑顔で応える


「ドライ・ストーン・ウォール」とは、自然の形のままの石を計算しながら積み上げていき、壁の外側の重量バランスを中心部に傾けることで、モルタルを一切使用せずに強度を保つという手法で造られた壁のこと。さらに、年月とともに隙間に苔が発生し強度が増すという、まさに人間の知恵と自然の合理が一体となった伝統技術だ。湖水地方では家や塀の建設にも多用されていて、ウォーキング・パスに沿ってどこまでも続く石塀には、旅情をかきたてるなんとも温かな趣がある。
一般にジンジャー・ブレッドといえば、人形のかたちをしたサクサクのクッキーを想像しがちだが、湖水地方のそれは味も 姿も似つかぬもの。体がすぐに温まる強いしょうがの味と、ねっとりとした食感が特徴だ。
丘で良く見かけるこのハードウィックという種類の羊は、赤ちゃんの時は真っ黒の毛で生まれ、次に茶色、そして灰色へと、成長とともにお色直しするとても珍しい品種だ。かつては絶滅寸前だったが、絵本「ピーター・ラビットのおはなし」の作者、ビアトリクス・ポターが保護に努めたことでも知られる。雨や厳しい寒さに強く、他種の羊が生息できないような高地でも放牧できるという、湖水地方の環境で飼育するには最適なハードウィック。また、一般の羊肉よりも割高だが、濃厚な味わいは一度食べたら病みつきになるはずだ。
ケンダルという町が発祥地の、ミント風味の砂糖水を棒状に固めたお菓子。ケーキとは名だけで、口に入れるとゆっくり溶ける「砂糖の塊」といった方が近い。ミントがリフレッシュ効果抜群、かつエネルギー補給として最適なので、ウォーキングなどのお供として重宝される。
また、外食に疲れた、あるいは節約したいという時に自炊できるのも、コテージ利用の大きな魅力だ。というわけで、最終日の夕食は、ユー・トゥリー・ファームで購入したハードウィック・ラムのローストに、地元で採れたポテトとブロッコリーの付け合わせに挑戦。自宅と変わらない環境で料理できることに感動しつつ、ラム肉の芳香に、隣のコテージの宿泊客が「今晩の夕飯はなに?」と聞きに来るという、ほのぼのとした土産話までできてしまった。「冬は地元食材をたっぷり入れた鍋を囲んで、夏は庭でバーベキュー……。」あまりの居心地の良さに、誰しもが次の旅計画に思いを馳せてしまうに違いない。
④ The Pennington Hotel
⑤ Brantwood
⑥Yew Tree Farm
Ruskin Museum
Steam Yacht Gondola









数千人の中から選ばれた16人の候補者男女が、実業界の大物アラン・シュガー卿が与える課題に挑むBBC1の看板リアリティー・ショー。優勝者には年収10万ポンド(約2000万円)の役職が約束されている。
日本発「マネーの虎」の英国版。一般人が持ち込んだ新規事業アイデアを、大物起業家の「ドラゴン」たちが査定し、交渉が成立すれば資金援助や投資が受けられる。2005年からBBC2でシリーズ放映中。







とある劇場の舞台上。老弁護士キップスが、若い俳優相手に覚束ない口調で自らの経験を語っている。キップスは若い頃、誰にも語ることのできない恐怖の体験をし、それゆえに悪夢に悩まされる日々を送っていた。彼は家族らにすべてを語ることでそんな記憶から解放されようと決意する。その練習を行うため、若い俳優を雇ったのだが、話のあまりの長さとキップスの語りのつたなさに、俳優はある提案をする。俳優が若き日のキップスを演じ、そのほかの人々をキップスが演じるという舞台の形で、この話を語ろうというのだ。かくしてキップスの恐怖の体験が芝居という形で明らかにされることになった……。



政治家
スポーツ選手
警察官
ビジネスマン
聖職者
演劇俳優
コメディアン
ミュージシャン





Boy George
George Michael
Will Young
Darren Brown
Stephen Fry
Simon Amstell
Graham Norton










