数ある英国の美しい田園地帯のなかでも、とりわけ人気の高いコッツウォルズ地方。ロンドンから2時間ほどでたどり着くことができる「英国で最も美しい村々」だ。近年では、日本からも湖水地方と並んで訪れる観光客が多いこの地方だが、その本当の姿をきちんと知る人は少ない。そこで今回は、2週にわたってこの美しい田園地帯の魅力の真髄をご紹介。まず今週はコッツウォルズの歴史と環境保護活動について、ご説明しよう。
(小野 まり)
協力: グロスター観光局 www.the-cotswolds.org
コッツウォルズ環境保護局 www.cotswoldsAONB.org.uk
著者プロフィール
1999年にナショナル・トラスト取材のために来英。2002年、夫で日本ナショナル・トラスト協会のオフィシャル・アーティストでもある琢正氏ら家族とともに英国に移住し、以降、英国の環境保護活動に関する研究・執筆活動に携わる。
コッツウォルズの歴史
「コッツウォルズ」とは何処を指すのか ── 単純な質問だが、この問いに正確に答えることができる人は意外に少ないのではないだろうか。
北はウォーリックシャーとウースターシャーの一部と接し、東側はオックスフォードシャー西部の一部分、そして大部分はグロスターシャーの東部を含み、南はウィルトシャー、バース、そしてサマセットの一部に接している。その総面積は2038平方キロメートル、東京都とほぼ同じ広さだ。そのなかにおよそ100の村や町が点在している、緩やかで広大な丘陵地帯が、コッツウォルズ地方である。
「ローマが眠る」地方
この地方の歴史は長く、4000年以上前の史跡が今も多く残っている。また、コッツウォルズに暮らす人々が「足元にはローマが眠っている」と言うほど、古代ローマ帝国の影響を大きく受けた一帯でもある。

ローマン・ビラのモザイクの床
紀元43年にはケルト民族征服のために大陸からやってきたローマ軍が、容易に守れる緩やかなこの地に目を付け、軍隊のための道路や駐屯地を設けた。それが現在では高速道路や国道として残り、この地方のドライブには欠かせない主要幹線道路となっている。さらに、当時の高級軍人の暮らしぶりを知ることができるローマン・ビラ(古代ローマの荘園)なども現存している。ガーデニングがてら庭をちょっと掘ったら、古代ローマの遺物が出てきた──なんてことも珍しくないのが、この地方の特徴でもある。
中世になると、ローマ人によってもたらされた毛の長い羊、今では「コッツウォルド・ライオン」と呼ばれ、この地方のシンボル的存在となっているが、その羊の羊毛貿易によって、この地方は黄金期を迎えた。コッツウォルズにあるいくつかの村に付いている「チッピング(Chipping)」という名称は「市場」という意味をもつことからも、その最盛期の賑わいがうかがえる。
さらに14~16世紀には、地場産業としての羊毛加工技術の向上と需要増によって、この地方に潤沢な資産がもたらされた。蜂蜜色のライムストーンの可愛らしい家々に混じって、歴史的建造物の名に相応しい、壮麗なマナー・ハウスやカントリー・ハウスが現存しているのも、この時代の遺産のおかげだ。
時代に取り残された地方から「この世で最も美しい村」へ
しかし、産業革命を迎えた18世紀以降、コッツウォルズ地方は急速に時代に取り残されていく。時代は毛織物から綿製品へ、そして大量生産の化学繊維へと移行していったのである。コッツウォルズが今なお「昔のままの姿」をとりとめているのには、実はこの時期、完全に時代に乗り遅れ、人々の記憶から忘れさられたことが一因となっているのである。おかげで、産業革命期を境に英国に張り巡らされた鉄道網からも逃れ、数百年前の田園風景が保たれることになった。

コッツウォルズを愛した
ウィリアム・モリス
時代に取り残されたコッツウォルズ地方が、再び注目を集めだしたのは19世紀になってからである。ときの文化人たち、なかでも英国を代表するデザイナーであり、「アーツ&クラフツ運動」の旗頭であったウィリアム・モリスが、彼の別荘であるケルムスコット・マナーにほど近いバイブリーを「この世で最も美しい村」と賞賛したのは、あまりにも有名な話だ。産業革命によって疲弊した人々の心身を癒したのが、このコッツウォルズに広がる田園風景だったのである。現在では、英国人たちが「老後に最も暮らしたい場所」として一番に挙げるほど、この地は桃源郷として現代に蘇ったのである。

蜂蜜色の可愛らしい家々が連なる街並み

「コッツウォルド・ライオン」とも呼ばれる地元の羊(写真左)
ストーンヘンジと同時期に建造されたと言われる「王の石」(写真右)

AONB指定地域の証
地元環境保護の取組み
「エリア・オブ・アウトスタンディング・
ナチュラル・ビューティー」
さて、長い歴史のなかで「運良く」残ったコッツウォルズだが、どんなに素晴らしい景観地も、実は人の手が入らなければ荒れ果てていくものである。19世紀後半に見直されたこの地方が、さらに英国の保護対象となったのは20世紀のことであった。
1966年、コッツウォルズは「Area of OutstandingNatural Beauty(特別自然美観地域。以下AONB) の指定を受けた。AONBとは、イングランド、ウェールズ、北アイルランドにおいて、後世に残すべき価値のある美しいカントリーサイドを、政府に代わって保護管理する地方議会により、特別指定地域に選ばれたことを意味する。AONB指定の第一の目的は、その自然景観の美しさを保存し、さらに改良していくこと。そして第二の目的は、このカントリーサイドの素晴らしさをすべての人々が享受できるよう、地域住人やそこで働く人々の利益を尊重することにある。

石を積み上げるボランティア
現在、コッツウォルズ地方の人口はおよそ15万7000人。土地利用の構成は80%以上が農地、およそ9%が森林地区である。コッツウォルズの観光拠点となっている町や村で、ファーマーズ・マーケット(地元農家による露天売り)が盛んに開催され、人気を集めているのは、そうしたバックグラウンドも影響しているのかも知れない。また、コッツウォルズの景観には欠かせないドライストーン・ウォール(地元の石灰石を、接着剤を使用せずに積み上げて造る石壁)は、その技術の伝達も含め、何百人もの地元ボランティアによって担われている。
2004年12月には、コッツウォルズAONBの環境保護をさらに強化するために、「コッツウォルズ環境保護局(Cotswolds Conservation Board)」が、政府によって設立された。同保護局はコッツウォルズのAONBを保全するための唯一の機構であり、様々な計画を率先して実行。コッツウォルズの環境保護のためのプロ組織が、政府の下に誕生したわけである。
ここで注目すべきは国と地方自治体の関係で、環境保護に関する様々な法的権限は保護局にあり、また地元のためになる計画であれば保護局独自の考えに基づき実行できるという点だ。国は国民のためにその目的に沿った活動がきちんと実施されているか、常に監視する立場にある。保護局で働くスタッフは20代から40代の少数精鋭の専門家集団。どこかの国の天下り組織とは、全く違うのである。
環境保護局の目的は、それまでのAONB同様、地域住民とそこで働く人々の環境保護への関心を高め、さらにその地域への訪問者に関しても、コッツウォルズの素晴らしさを享受してもらえるよう、努めることにある。現在、保護局のオフィスは、保護地域の中央に位置するノースリーチという村にある。オフィスの一般見学は無理だが、隣接の建物は古くからこの地に伝わる珍しい農工具などが展示してある博物館となっている。また、地ビールを味わうことができるカフェもあり、地元アーティストやクラフトを扱ったショップもオープン、新たに観光名所の一つとなるだろう。
持続可能な自然と人間の共存
2006年、コッツウォルズはAONB指定40周年を迎えた。築50年、100年の民家を「新しい家」と考える英国人にとって、この40年間は、まだまだ「子どもの歩み」だ。これからもゆっくりと、しかし確実にこの自然景観を守っていくこと、それがコッツウォルズに課せられたテーマであり、この地に憧れを持つ、一人一人の願いでもある。

親から子へと伝わる環境保全の意識
年間300万人以上の観光客を受け入れながら営まれている、この地域の環境保全の取り組みをみていると、そこには地域住民、そこで働く人々、そしてその地域で育つ子どもたちも含めて、持続可能な自然と人間の共存にじっくりと取り組んでいる姿がある。性急な答えを求めない、無理のない環境保全への対策。先導する専門家たちと、それを支える何百ものボランティアの人々──その層の厚さはうらやましい限りで、コッツウォルズの緩やかな丘陵地に流れる風のように、この美しい風景を優しく包み込んでいるようだ。

もやがかった幻想的な景色が広がる

新鮮な食材がずらりと並ぶファーマーズ・マーケット
あなたもコッツウォルズの環境保護にひと役!
コッツウォルズ AONB & Takumasa Ono コラボ商品が誕生
日本ナショナル・トラスト協会のオフィシャル・アーティストでもある画家・小野琢正さんと、コッツウォルズ環境保護局のコラボ商品が誕生。このコッツウォルズをテーマとした水彩画12絵柄の絵葉書セットの売り上げの一部は、地元環境保護局へ寄付され、コッツウォルズの景観保護に役立てられる。

定価6ポンド(コッツウォルズ内ツーリスト・インフォメーション・センターなどで販売中)(写真左)/ 原画とともに記念撮影に応じる小野琢正さん(同右)
コッツウォルズをもっと詳しく知りたい人のために
今回ご紹介したのは、コッツウォルズの一部。この魅力溢れるカントリーサイドを、じっくり散策したい人のためのガイド本。およそ240点の写真とともに、コッツウォルズ在住の著者ならではの、お勧めどころが満載だ。
『図説・英国コッツウォルズ -
憧れのカントリーサイドのすべて』
河出書房新社・刊 小野まり著
定価1800円
ロンドンJP–Booksなどで販売中
※情報は記事掲載当時のものです。



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ジョージ・オズボーン
テリーザ・メイ
ウィリアム・ヘイグ
イアン・ダンカン・スミス
ケネス・クラーク
マイケル・ゴーブ
ビンス・ケーブル
ダニー・アレキサンダー
サイーダ・ワルシ
クリス・ヒューン 
木漏れ日が差し込む広場に面した、チョコレート色のひさしが目印。イタリアの最高級チョコレート「アメディ」を使った、細工の美しいケーキが並ぶ。こちらのスイーツは、パティシエであり、ショコラティエでもあるウィリアムさんと寿々江さんご夫婦の出身地、スコットランドと日本の伝統が生み出すハーモニーでもある。他所では見ない、黒酢やウィスキー「山崎」のトリュフなどもいただける。


世界遺産を包み込むスペクタクル


14世紀、7代にわたる教皇が居を構えていた教皇庁宮殿や、「橋の上で踊ろうよ踊ろうよ〜」の歌詞で知られる童謡の舞台となった「サン・ベネゼ橋」など、ここアヴィニョンには世界的に有名な建造物が存在する。しかし、世界遺産に登録されているのは「アヴィニョン歴史地区」、つまり、街全体が世界遺産なのだ。世界最大規模のゴシック宮殿である教皇庁宮殿など、いくつかの見逃せない観光スポットもあるが、それと同時に、のんびり散歩して城壁に囲まれた直径約4.3キロの街並みを丸ごと味わってみたい。
6月から10月にかけ て、フランスでは600以上のフェスティバルが催される。そのなかでも60年以上もの歴史を持ち、先駆者的な役割を果たしているのが、「アヴィニョン演劇祭」だ。毎年7月から8月の約1カ月間、連日、街の様々な場所で芝居やパントマイムなどのパフォーマンスが開催される。イベントは、アヴィニョンの街が招聘する「On」と自由参加の「Off」の2種類に大別される。日本からもこれまで、東京乾電池や自由劇場などの人気劇団が参加しているとか。今年のスケジュールは7月7日(水)から27日(日)まで。
世界に名だたるワインの名産地、ここプロヴァンス地方で、教皇のお膝元であったアヴィニョンと深い関わりを持つワインがある。「シャトーヌフ=デュ=パプ(教皇の新しい城)」という名を持つこのワイン、14世紀にアヴィニョンに居住していた時の教皇が、同地に夏の離宮を建造、その際に製造が始まった。コシの強さと味わい深さが魅力のワインだ。また、アヴィニョンから車で数十分の場所にあるタベル村では、ロゼのみが製造されている。バーベキューのような味のはっきりとした料理にピッタリのこのタベルは、夏にもってこいだ。
多くの謎を秘めたリゾート地


「ネコの楽園」として知られるマルタには、何と人口の倍の数ほどのネコがいるという。そしてこの国には、もう一つ、注目すべき「ネコ」がいる。電車がなく、タクシー料金も高いこの国の主要交通手段はバス。このバス、実は宮崎駿の人気映画「となりのトトロ」のネコバスのモデルになったと言われている。黄色と白を基調に、オレンジのラインが鮮やかなバスの車体は、ころんと丸みを帯びたフォルムが愛らしく、確かにニヤリと笑って走り出しそうな風情だ。
「青の洞窟」と言えば、誰もがイタリア・カプリ島を思い浮かべるはず。しかしここマルタにも、海が青碧色に輝く青の洞窟がある。マルタ島の南、ズリーにあるこのマルタ版青の洞窟は、カプリ島とは異なり、洞窟というより、アーチ状になった岩礁がいくつか点在しているため、「青の洞門」と呼ばれることもある。小船に乗ってこの洞門を巡れば、透きとおった海水と海底の白砂が織り成す自然の神秘を目の当たりにすることができる。観光するならば、日光が青色を鮮やかに浮かび上がらせる午前中がお勧め。
突き刺さるような強い日差しを浴びて長時間歩き回っていれば、当然、喉が渇く。そんなときにぐびりといきたいのが、マルタ特産のソフト・ドリンク「キニー(Kinnie)」だ。コカコーラを薄めたような色合いで、味もコーラを少々、ほろ苦くさせた炭酸水といったところ。クセがあるので好みは分かれそうだが、このマルタの太陽の下では不思議と美味しく感じられる。国外では販売していないそうなので、滞在中、一度はトライしてみよう。飲むならばソフト・ドリンクよりビール、という人は、さっぱりとした後味の地ビール「チスク(CISK)」をどうぞ。
アフリカに漂う欧州の風


ケープ・タウンの街中の至るところで、気付くと目の端に、不自然なまでにまっ平らな山が見える。それが「テーブル・マウンテン」だ。標高は1086メートル。頂上へはケーブル・カーを利用するか、徒歩で登ることになる。富士山と比べればかなり低いが、だからといって油断は禁物。刀ですっぱり垂直に切ったかのような岸壁に沿った、かなり険しいゴツゴツとした岩場の道は、思ったよりも難物だ。しかし、頂上から見下ろす、弓なりに伸びる海岸線とケープ・タウン市街のコントラストの鮮やかさは、その苦労を補って余りある美しさ。体力に自信がある方は、徒歩でこの山の魅力を体全体で感じてみよう。
岩場にもペンギン、海岸にもペンギン、海にもペンギン……。そんなペンギンだらけの癒しエリアが、喜望峰から程近い海岸沿いにある。野生ペンギンの保護区、ボールダーズ・ビーチには、小柄でキュートなケープ・ペンギンが生息している。観光客は遊歩道からペンギンを見ることになるわけだが、それだけでは終わらないのがこのビーチのすごいところ。野生の彼らは、このエリア近隣を自由気ままに闊歩している。道を歩けば、卵を温めているペンギンに遭遇したり、近くの岩場で海水浴を楽しめば、一緒にペンギンも泳いでいたりと、とにかくペンギンの国に人間がお邪魔しているような気分に陥るビーチなのだ。
エディンバラで
ケントで世界最小の
キュー王立植物園で

高野 千春さん 


橋場 志穂子さん


ヴェロニック・ポトル・アンティーさん


メリッサさん


Wさん

A Priori Thé
Cafe des 2 Moulins
Hotel Costes


到着出口から、歩いて50メートルほどの場所に空港バス発着所がある。ここからパリ市内へと移動するエール・フランス・バスが、30分ごとに運行。またユーロスターが発着するパリ北駅まで鉄道が走っている。
パリ市内に到着
パリの隠れ家カフェで一服


























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