「有名人の子ども」であることが、一種の才能、あるいは職業のように扱われている英国。
驚くほど多くの2世セレブたちがテレビや雑誌に登場しているが、果たして何人が、
親を超える才能を持っているのだろうか。
今回は様々なジャンルで活躍する2世セレブたちをご紹介しよう。
(中村エミ)
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「父親越え」に成功したお転婆娘
リリー・アレン ロンドン出身 シンガー・ソングライター |
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父親: キース・アレン Keith Allen 1953年生まれ(56歳) ウェールズ出身 俳優、コメディアン、ミュージシャン Suzan/Suzan/EMPICS Entertainment |
デビュー・アルバムを全世界で250万枚売り上げ、なにかと、タブロイド紙を賑わせているじゃじゃ馬ポップ歌手のリリー・アレン。父親はコメディアン兼俳優のキース・アレン、そして母親は映画プロデューサーという、芸能一家の出身である。だが彼女が4歳の頃に両親は離婚。飲酒や喫煙が問題となり、リリーは13回も転校を繰り返したあげく、15歳で学校を中退した。その後、イビサ島でドラッグを売って生活するなど、他の2世セレブとは一線を画すやんちゃな青春期を送っている。
それでも無鉄砲な生活の傍ら創作活動に励むが、素行の悪さと「父親がキース・アレン」ということが足かせになり、なかなかレコード会社に相手にしてもらえなかったという。父のキースは、現代アート界の寵児ダミアン・ハーストと、バンド「ブラー」のベーシスト、アレックス・ジェームスと共にバンド活動を行うミュージシャンでもある。リリーはそんな父が作った曲をレコーディングしたが、レコード会社に不評でリリースを拒否されてしまう。その後、別のレコード会社と契約し、晴れて売れっ子アーティストとなった彼女は、いつしか「キース・アレンの娘」と呼ばれることがなくなり、逆にキースが「リリー・アレンの父」と紹介されるようになったそうだ。
ちなみに、リリーの弟のアルフィ(23)は俳優として活躍中。だが本業よりも、恋人で女優のジェイミー・ウィンストンとのゴシップばかりが報じられている。
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「手に職」でビッグ・ネームの 呪縛から卒業 ステラ・マッカートニー ロンドン出身 ファッション・デザイナー |
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父親: ポール・マッカートニー Paul McCartney 1942年生まれ(67歳) リヴァプール出身 ミュージシャン(元「ザ・ビートルズ」) 母親: リンダ・マッカートニー Linda McCartney 1941〜98年(享年56)米国出身 写真家、ミュージシャン、動物愛護活動家 |
デザイナーのステラ・マッカートニーは、元「ビートルズ」のポール・マッカートニーの娘として、恵まれた土壌とチャンスを与えられる一方で、父親の名声という呪縛とプレッシャーの中、見事モード界の中心的な存在にまで上り詰めた人物だ。
ステラがデザインを学び始めたのは弱冠12歳の頃。15歳でフランス人デザイナー、クリスチャン・ラクロワの元で仕事を行い、その後、ロンドンの由緒正しき紳士服街、サヴィル・ロウでテーラリングの修行を積む。1995年、数々のデザイナーを輩出してきたロンドンの名門校、セントラル・セント・マーティンズで行われた卒業コレクションでは、友人であり、当時スーパー・モデル・ブームを巻き起こしていたナオミ・キャンベルとケイト・モスをモデルに起用し脚光を浴びる。発表したコレクションは即完売となったが、「父親の七光り」であるとのバッシングも多かった。
そんなステラの実力を世界に知らしめるきっかけになったのは、97年、フランスの高級ブランド「クロエ」のチーフ・デザイナーに指名されたことだった。彼女の起用はただの宣伝戦略であると囁かれていた中、発表されたコレクションが大成功。クロエの売り上げは、ステラ起用以前の5倍に急増したという。
また、ステラは両親の影響からか、厳格な菜食主義者であり、動物愛護活動にも熱心だ。1995年から展開している自身のブランド「ステラ・マッカートニー」でも、毛皮や皮を使用しない方針を貫いている。
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目指すは「あの親にしてこの子あり」
ケリー・オズボーン ロンドン出身 歌手、女優、タレント、デザイナー |
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父親: オジー・オズボーン Ozzy Osbourne 1948年生まれ(61歳) バーミンガム出身 ミュージシャン(「ブラック・サバス」) 母親: シャロン・オズボーン Sharon Osbourne 1952年生まれ(57歳)ロンドン出身 マネージャー、TVタレント 弟: ジャック・オズボーン Jack Osbourne 1985年生まれ(24歳)ロンドン出身 TVタレント |
へヴィメタル・バンド「ブラック・サバス」のヴォーカルにして、生きた鳩やコウモリの首を食いちぎるなど過激なライブ・パフォーマンスでカルト的な人気を誇る「伝説の男」、オジー・オズボーン。そしてオジーの良き恐妻であり敏腕マネージャー、現在では様々なTV番組に出演し、お茶の間でも大人気のシャロン。そんな2人の子どもであり、芸能界を生き抜くべく奮闘しているのが、次女のケリーと長男のジャックだ。
2002〜05年にかけて、米ロサンゼルスの豪邸を舞台に一家の日常を追った番組「オズボーンズ」が放送されたことで、4人は「実写版アダムス・ファミリー」的な存在として世界中に知れ渡る。奇想天外な言動で予測不可能なオジー、類を見ないほど正直で毒舌なシャロン、そして問題ばかりを起こす、甘えん坊で我がままなケリーとジャック。番組放送後にはそれぞれにTV番組や雑誌からのオファーが殺到したが、中でも一番人気となったのは母シャロンだった。トーク番組の司会や、国民的オーディション番組「Xファクター」の審査員を務めるなど、英米両国で引っ張りだこになったのだ。
その一方で、子どもたちは知名度こそ抜群なものの、華も才能も両親にはとてもかなわない。ケリーは歌手やTVタレント、女優、影が薄い弟ジャックもタレントとして活動しているが、いまだに「代表作」と呼ばれる仕事はない。いつしか「さすがはあの両親の子ども……」と唸らせるような、ビッグなことを成し遂げてほしいものだ。
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国民的英雄から受け継いだものは……
カラム・ベスト 米国出身 元モデル、TVタレント |
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父親: ジョージ・ベスト George Best 1946〜2005年(享年59) 北アイルランド出身 元サッカー選手 |
現役を引退して25年もの月日が流れた現在でも「世界最高のドリブラー」として愛されている元・北アイルランド代表サッカー選手、ジョージ・ベスト。17歳で「マンチェスター・ユナイテッドFC」にてデビューを果たしたジョージは、伝説的なドリブラーとして活躍した。そして、その端整な容姿から付けられた愛称は「エル・ビートル(5人目のビートルズ)」。サッカー界で初めてアイドル的な扱いを受ける選手となった。
ただ、ジョージはアルコール依存症による問題を早くから抱えていた。引退後は肝臓病を患い闘病生活を続けていたが、2005年、多臓器不全により59歳の若さで死去する。死後、彼の肖像画が描かれた5ポンド札が発行され、ベルファスト・シティ空港も「ジョージ・ベスト・ベルファスト・シティ空港」と改名されるなど、国民はジョージに敬意を表し、彼の残した功績を称えた。
そんな偉大なるサッカー選手を父に持つカラム・ベストは、相当な色男として名を馳せた父と同様、数々の美女たちとの浮名を流しながらモデルのキャリアをスタートした。噂になったお相手は米女優のリンジー・ローハン、モデルのケイト・モス、アギネス・ディーン、歌手のサラ・ハーディングなど実に豪華な顔ぶれ。08年には「50日間禁欲を守る」という趣旨のリアリティー番組にまで出演したほどのプレイボーイだ。ここ数年はTV番組への露出も増えてきたが、果たして、父親から色男である以外の才能を受け継いでいるのかは不明である。
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パパ・ミックはモデル製造工場
ジェイド・ジャガー フランス出身 元モデル、宝石デザイナー |
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父親: ミック・ジャガー Mick Jagger 1943年生まれ(66歳)ケント出身 ミュージシャン (「ローリング・ストーンズ」) 母親: ビアンカ・ジャガー Bianca Jagger 1945年生まれ(64歳) ニカラグア出身 元女優、人権活動家 異母妹: エリザベス・ジャガー Elizabeth Jagger 1984年生まれ(25歳) 米国出身 モデル、女優 エリザベスの母親: ジェリー・ホール Jerry Hall 1956年生まれ(63歳) 米国出身 モデル、女優 |
全世界でのアルバム総売り上げが2億枚以上というバンド「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーは、4人の女性との間に4女3男もの子を持つパパである。これまでに子ども4人、そして妻3人がモデルを経験しているが、ミックと同じ音楽の道へ進んだ子どもはまだ一人もいない。
次女ジェイドは、以前はモデル、現在は宝石デザイナーとして活躍中。元モデルとして多忙な生活を送った彼女の母は、幼いジェイドをポップ・アートの巨匠、アンディ・ウォーホールのアトリエへ連れて行っては、子守りを頼んでいたという。そして三女のエリザベスはモデル・女優。元「ビートルズ」の故ジョン・レノンの息子、ショーン・レノンと交際していた際には「世紀の2世カップル」として世界中の音楽ファンから注目を集めた。
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絶世の美女を母に持つ娘の苦悩とは
アンバー・ル・ボン ロンドン出身 モデル |
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父親: サイモン・ル・ボン Simon Le Bon 1958年生まれ(51歳) ハートフォードシャー出身 ミュージシャン(「デュラン・デュラン」) 母親: ヤスミン・ル・ボン Yasmin Le Bon 1964年生まれ(45歳) オックスフォード出身 元モデル |
1980年代に一世を風靡したロック・バンド「デュラン・デュラン」のサイモン・ル・ボン。当時、婚約者がいたサイモンが雑誌で見かけたモデルに一目惚れし、連絡先を探し出して結婚に至ったというそのお相手が、元スーパー・モデルのヤスミン・ル・ボンだ。ヤスミンは3人の娘を出産した後もモデルを続け、つい最近、引退したばかりという美貌の持ち主。その美しさとスタイルの良さを受け継いだ長女アンバーもモデルとして活躍しているが「母にはとうてい敵わない」と感じているそうで、将来は写真家を目指すという。
また、次女のサフランは「姉妹の中では、私が一番パパに似ている。将来は音楽を作りたい」と話している。2世セレブとしては珍しく、父親と同じ土俵に入る予定のようだ。
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父の影響は名に留まらず
ダンカン・ジョーンズ ケント出身 映画監督 |
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父親: デヴィッド・ボウイ David Bowie 1947年生まれ(62歳) ロンドン出身 ミュージシャン、俳優 |
自分の実力とは全く関係の無い名声──そんな重圧から逃れるためか、愛称の「ゾーイ・ボウイ」を封印した映画監督のダンカン・ジョーンズ。その父親は、20世紀の英国を代表するロック・スターとして、今なお世界中でカルト的な人気を誇るデヴィッド・ボウイだ。
1971年、ボウイは女優・歌手のアンジェラ・バーネットと結婚しダンカンをもうけるが、80年に離婚。ダンカンの親権を与えられたボウイは、男手1つで息子を育てることになる。成長したダンカンは広告業に携わりながら、2009年、長編映画の初監督作品となるSFスリラー映画「ムーン」(原題)を発表。数々の傑作SF映画に出演している父、ボウイの影響を訊かれると「どんなに逃れようとしても、父親の存在は大きいです」と答えている。
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「帝国」を担う2代目はどっち?
ホリー・ブランソン 出身地不明 医者 |
| 父親: リチャード・ブランソン Richard Branson 1950年生まれ(59歳)ロンドン出身 「ヴァージン・グループ」会長 弟: サム・ブランソン Sam Branson 1984年生まれ(25歳)出身地不明 元モデル |
航空会社、鉄道、旅行、メディア……多岐にわたる事業を展開する「ヴァージン・グループ」の創設者にして会長を務めるリチャード・ブランソン。どんなに多忙であろうと、休暇には必ず家族に同行するという良き家庭人としても知られている。
そんな親もとで育ったのが、ブランソン自慢の娘ホリーと息子のサムだ。医者となった長女ホリーは、美人な上に頭脳明晰。2008年からは医者としてのキャリアを一時中断し、父の新プロジェクトに関わっているという。一方、以前から家業を継ぐつもりだと語っていた弟のサムは、ファッション・ブランド「バーバリー」の広告モデルを務めた経歴を持つ。関係者によると「チャーミングで容姿は良いが、大企業の経営は不向き」で、父の悩みの種なのだという。
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夢を与えて3代目の作家一族
ソフィー・ダール ロンドン出身 元モデル、作家 |
| 父親: ジュリアン・ホロウェイ Julian Holloway 1944年生まれ(65歳)オックスフォードシャー出身 俳優 母親: テッサ・ダール Tessa Dahl 1957年生まれ(52歳)バッキンガムシャー出身 作家 祖父: ロアルド・ダール Roald Dahl 1916〜90年(享年74)ウェールズ出身 作家 |
モデルらしからぬ豊満なスタイルながら、世界各国のファッション誌で引っ張りだこになり「サイズ16のスーパー・モデル」との異名を取ったソフィー・ダール。モデル現役時代は「サイズが合う服がなく、気が付けばいつも半裸で撮影」していたという。その後は、サイズ8とかなりスリムな体型になったとか。また、作家としても活動しているソフィーは、現在、数誌にコラムを持つほか、2冊の長編小説とレシピ本を1冊出版している。
そんなソフィーの両親は、俳優のジュリアン・ホロウェイと作家のテッサ・ダール。さらに母テッサの父親は、「チョコレート工場の秘密」などの優れた作品を数多く残した作家のロアルド・ダール。その妻は米女優のパトリシア・ニールという、3代続く芸能一家だ。
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親の心子知らず、とはこの娘のこと?
ピーチズ・ゲルドフ ロンドン出身 司会者 |
| 父親: ボブ・ゲルドフ Bob Geldof 1951年生まれ(58歳)アイルランド出身 ミュージシャン(元「ブームタウン・ラッツ」)、慈善活動家 母親: ポーラ・イェーツ Paula Yates 1959〜2000年(享年41)ウェールズ出身 TV司会者、ロック・ジャーナリスト |
アイルランド出身のロック・ミュージシャンであり、世界的な慈善活動家としても知られるボブ・ゲルドフ。元妻でTV司会者のポーラ・イェーツとの間に3人の娘が生まれるが、オーストラリア人ミュージシャンと恋に落ちたポーラは、1995年に家庭を捨てて彼の元へ。96年に女の子が誕生するが、その翌年に恋人が自殺し、ポーラは2000年にドラッグの過量摂取で死去。その後、ボブは孤児となった元妻の娘を養女に迎えている。
そんな聖人のような父ボブの元で育った次女のピーチズは、タブロイド紙では常連のお騒がせ娘である。ドラッグの過量摂取で意識不明になり病院に搬送されたり、ドラッグを購入している姿をビデオで撮られたりと、父親泣かせな行動ばかり。波乱万丈な運命が母親似でないことを願うのみだ。
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スキャンダルでより羽ばたく2世
デイジー・ロウ ロンドン出身 モデル |
| 父親: ギャビン・ロスデイル Gavin Rossdale 1967年生まれ(42歳)ロンドン出身 ミュージシャン(元「ブッシュ」) 母親: パール・ロウ Pearl Lowe 1970年生まれ(39歳)ロンドン出身 ミュージシャン(元「パウダー」)デザイナー |
2歳の頃からモデルとして活動していたというデイジー・ロウだが、その名が広まったのは2004年のこと。それまでデイジーの父親は、ミュージシャンからファッション・デザイナーに転身した母、パール・ロウの元夫であると思われていた。しかし、実は米歌手グウェン・ステファーニの夫であり、バンド「ブッシュ」のボーカル、ギャビン・ロスデイルであることが判明したのだ。「ロスデイルに隠し子発覚」のニュースは英米で一大スキャンダルとして報じられた。
その後、ファッション誌やショーで活躍していたデイジーだが、08年に売れっ子音楽プロデューサーのマーク・ロンソンと交際したことをきっかけに、さらに知名度が急上昇。現在では「ネクスト・ケイト・モス」として将来を有望視されている。
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父から受け継いだ舞台への情熱
エド・ストッパード ロンドン出身 俳優 |
| 父親: トム・ストッパード Tom Stoppard 1937年生まれ(72歳)チェコ出身 脚本家、劇作家 母親: ミリアム・ストッパード Miriam Stoppard 1937年生まれ(72歳)ニューカッスル出身 医者、TV司会者、コラムニスト |
映画「太陽の帝国」や「恋に落ちたシェイクスピア」、そして戯曲「リアル・シング」などの代表作で知られ、演劇界随一の知性派劇作家として人気を博すトム・ストッパード。チェコでユダヤ系の家系に生まれたトムは、第二次大戦のさなか、ナチスの迫害を逃れシンガポール、そしてインドへ移住するなど数奇な人生を歩んだ。
そんなトムと、彼の2番目の妻であり内科医、TV司会者としても活躍したミリアム・ストッパードの間に生まれたのが、舞台を中心に活躍する俳優、エド・ストッパードだ。「私の両親は身内びいきをしないし、私もそれを求めていない」という言葉通り、父親の芝居に出たことがなかったエド。昨年ようやく、ロンドンで再演されたトムの傑作「アルカディア」に出演を果たしている。
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消費社会に「エシカル」の概念を広めた母子
サム・ロディック サセックス出身 「ココ・デ・メール」創設者、人権活動家 |
| 母親: アニータ・ロディック Anita Roddick 1942〜2007年(享年64)リトルハンプトン出身 「ザ・ボディショップ」創設者、人権活動家 |
化粧品メーカー「ザ・ボディショップ」の創設者であり、人権活動家の故アニータ・ロディック。環境保護活動家でもあった彼女は、天然原料を使用した、動物実験を行わない化粧品の製造・販売の先駆者であった。「ザ・ボディショップ」の商品、そして企業理念は、多くの人に受け入れられ、現在では50カ国以上に2000店以上の店舗を展開する大企業に成長している。
アニータと同様、人権活動家となった次女のサムは、2001年、「エシカル(環境保全・社会貢献に寄与する)」であることを基本方針としたセックス・ショップ「ココ・デ・メール」を立ち上げる。同社の別ラインであり、非営利目的で創設された「ボンデージ・フォー・フリーダム」では、売り上げがチャリティー活動や政治的活動の運営に活用されている。



在留届は提出しましたか?






























































聖なる日を迎えるのに欠かせない英国伝統のスイーツと言えば、クリスマス・プディングに加え、こちらミンス・パイ。クリスマスに、このミンス・パイを食べることを禁じられるとは、例えれば、日本で「正月に雑煮を食べるべからず」というほど理不尽なことなのだ。この法律を生み出したのは、清教徒革命の指導者であったオリバー・クロムウェル(1599〜1658)。クロムウェルは、神聖な日であるべきクリスマスに、祝宴などのお祭り騒ぎを行うことは道徳に反すると考え、1647年にクリスマスを祝うことを違法とする法律を可決してしまった。清教徒が権力を失う1660年頃までは、クリスマスにミンス・パイを食べているところが見付かれば、「クリスマスを祝福している」として逮捕されていたのだそう。
ロングボウとは、主に13〜14世紀のイングランドで使われた長弓(ちょうきゅう)のことだ。射程距離が500メートルを超える優れた武器だったが、弓を引くにはかなりの力が必要。また、習得が困難であったがために17世紀以降には廃れてしまった。戦力を保つために中世に制定されたこの法律が、いつ頃から守られなくなったのかは不明だが、現代社会で長弓の練習などされたら、おちおち道も歩けない。イングランドに住む男性諸君、毎日、法を破ってくれてありがとう。
現代社会では、何を持ってして「レディー」と見なすか微妙なところ。女性陣にとっては、「じゃあ地下鉄内でステーキはありか」「私はレディーとちゃう、ただのオバハンや」など疑問点が多いのでは。元々は淑女の風紀を取り締まるために作られたはずだが、「レディーは公共の乗り物内では飲食禁止」としなかったところにジェントルマンの優しさが感じられる……?
20世紀初頭に制定されたこちらは、現在では80ポンドの罰金が科せられることもある(イングランドとウェールズのみ)、現在進行形の法律だ。とはいえ、ただ陽気に酔っ払うだけで問題になることはなく、酔って「治安を乱す行為」をした人や、自分で自分の面倒を見られなくなるほどヘベレケになった際にご法度となるのだそう。これから迎える年末年始の暴飲シーズン、これは肝に銘じておいたほうが◎。



世界で最初に切手を発行した国である英国では、世界で唯一、国名の代わりに女王(国王が在位中の場合は国王)の肖像を切手に記している国でもある。普段何気なく使用している切手だが、やはり女王は国の君主。上下逆さまに貼ろうものなら反逆罪に問われるという。ちなみに、女王の肖像に落書きすることも禁じられているので、顔の上にヒゲやメガネを描いたりするのもご法度だ。とはいえ、この法は現在、あってないような存在なのだそう。
1984年に公衆衛生法で制定されたこの法によると、タクシーの運転手は天然痘などの疫病を患っていないかどうか、客を乗せる前に聞かなくてはいけないそうだ。「疫病」と言えばペストや黒死病など大げさなものを想像しがちだが、新型インフルエンザも伝染症の一種。もし今後、新型インフルがこの法の対象となれば、感染者がタクシーを緊急時などに利用することが違法行為と見なされる可能性も出てくる。
首都警察が管轄する区域とは、シティーを除くグレーター・ロンドン全域を指す。この法律は、1847年に定められた、一般道路での様々な禁止事項のうちの1つだ。こちらの「道でのカーペット類叩き禁止令」は時代を重ねるごとに改定されていて、現在では破ると200ポンドの罰金が課される。同様の法律では、道での凧あげや洗濯物干しも違法とされている。
分かるような分からないような、非常に回りくどいこの法律は、租税回避行為への対策として2006年に制定されたもの。「知られても構わない」と言われたところで、どこまで各自の基準で判断して良いものなのか、さっぱり分からない。では、ジャッキー・スミス内相を例に挙げてみよう。同内相の夫が「経費でポルノ映画を視聴した」のは知られたくなかったようなので教えて正解だったが、もし彼女が腹をくくっていて「別に、誰に知られても構いません」と思っていたとすれば、教える必要はなかったということだろうか……。

現在では守られていないようだが、スコットランド人の人柄や制定された当時のスコットランドの治安の良さが滲み出た法律だ。ノックしたのが、たとえストーカーでも強盗でも家の扉を開けなくてはいけないのであれば、この法は現代社会では守るほうが危ないはずだ。でも、もしスコットランドを旅していてどうしてもトイレが見付からないときは、そっとドアをノックしてみては。
このような法律が生まれたということは、当時はよほど狂犬病にかかった犬か、遺体を運ぶタクシーが多かったということだろうか。もし、病院に向かうタクシーの中で乗客が亡くなったら、それも違法と見なされるのか。そして、シティー以外の地域では、上記の2つを運んでもまったく問題ないのか……。疑問ばかりが残る法律である。
妊娠中は好もうが好むまいが、トイレが近くなるもの。ママになる女性の重荷を少しでも軽減するようにとの配慮から生まれた、「どうぞどうぞ、お好きなところで」という温かい気遣い溢れる法律。だが、「お好きなところ」を強調するために警官のヘルメットを例に出すとは、法案者が警察に何か恨みを持っていたとしか思えない。ただ、この法律が「警察官にとって侮辱的だ」との意見から、法を改定するよう申し立てが行われているそうだ。








ロンドンのマーケット


欧州各国には、何世紀にもわたり地域に密着し発展してきた、伝統的なクリスマス・マーケットが数多く存在する。ここでは英国からでも訪れやすい、欧州4カ国のお勧めのマーケットをピックアップした。







ドッグズ・トラストとは







新しい飼い主がなかなか見付からない犬をドッグズ・トラストお抱えの犬とし、スポンサーを一般から募集する。費用は1週間1ポンド。スポンサーにはグッズや機関紙「Wag!」支給などの特典がある。

露出をオートに頼りすぎるのはNG























