「ボラト」、「アリG」のサッシャ・バロン・コーエン、「リトル・ブリテン」のデービッド・ウォリアムズ & マット・ルーカス、そして「オフィス」、「エキストラ」のリッキー・ジャベイス。今頂点にいるコメディアン御三家は、シチュエーションもので誰かに化けて笑いを取る。即興力よりも、練った構成と演技で勝負だ。
モンティ・パイソンのメンバーやスティーブ・クーガン、ローワン・アトキンソンら先達は皆そうで、いわばハリウッド進出の王道パターン。英国お笑い界の伝統芸といえる。
チャンネル4「イレブン・オクロック・ショー」で評判を呼び、自身のトーク・ショーを持ったジャベイス。この力強い助走も手伝って、一気に「オフィス」で大ブレイク。ゴールデン・グローブほかあちこちで賞を取った。ウィットに富んだつもりの食えない男デービッド・ブレントと同僚、部下たちの「あるあるある」な人間模様が絶品だった。
米版「オフィス」も好評で、映画のオファーも多々あったというが全部辞退。代わりに同志スティーブン・マーチャントらとともにポッドキャスト「リッキー・ジャベイス・ショー」を仕掛け、これが大当たり。ダウンロード800万以上でギネス世界記録を出した。続く「ポッドファーザー」シリーズもしばらくトップを独占。メジャー進出後の媒体選びがクレバーで新しい。
毎回VIPセレブがゲスト出演する「エキストラ」では、障害者や人種差別といったタブー・ネタに挑戦。「オフィス」より低温でシニカルになり、評価が分かれるが、こちらも米版が決まった。テレビの合間にはツアーも行い、多方向から笑いを追求するジャベイス。ロンドン大哲学科出身の頭脳プレイヤーが、スクリーン・デビューを果たすのはいつ!?