彼女が着れば流行も終わりとか、スタンフォード・ヒルを丸ごと食べた女(ユダヤ人の典型でしかも太っている)とか、ここ数年ばかし嘲笑のネタにされているバネッサ・フェルツ(44)。J・ストリート=ポーター同様、甲高い声で自説をまくし立てるインテリ女性は、この国でも嫌われるらしい。
北ロンドンにある高級住宅地トタリッジの裕福なユダヤ人家庭に育ち、小中高と私学に通って、ケンブリッジ大へ。英文学部をファーストで卒業してすぐ、22歳で医者と結婚する。ここまでのバネッサが「山の手お嬢様期」だとすると、結婚後ジャーナリストとなった彼女は「文化人盛衰期」。全国紙「ジューイッシュ・クロニクル」初の女性コラムニストとして注目を集め、後にテレビ、ラジオへ進出。5億円の契約金でITVからBBCに移籍し、高額ギャラ3位の売れっ子になる。
しかし99年、ヤラセ事件が発覚して自身のトーク番組が打ち切りに。同時に、夫が他の女性に走って離婚。服のサイズも26から12に落ちた(また戻ったが)。番組で印象深かったのは、マドンナがゲストで出た時。バネッサがプレゼントした娘ルルドちゃんの服を見て「うちの子に似合わない」とポイッ。以後、事あるごとにコラムでマドンナ・バッシングをしているが、よっぽど堪えたのだろう。
そして5年前の初回「セレブリティ・ビッグ・ブラザー」。ヒステリーを起こして一心不乱にネガティブな言葉を書き殴っていたバネッサは、まるで連獅子。「スーパー・エゴ・バネッサ期」の幕開けだ。弁とペンが立つゆえ、テレビ、ラジオ、新聞と需要はまだまだ。吠える場所はいくらでもある。デブの憎まれキャラが好きな偏屈に支持があるのか。私もその内の1人だ。