いくら季節労働の「ビッグ・ブラザー」が稼ぎ頭だろうとも、「アグリー・ベティ」「デスパレート・ハウスワイブス」など米ドラマが話題を独占しようとも、チャンネル4に夜7時のニュースがなけりゃ、羅針盤のない船も同然。方向を見失って難破する。もちろん今年還暦を迎えるキャスター、ジョン・スノウの存在があればこそ成立する話だ。
父は私立の校長を経て、英国国教会主教にまでなった人格者。セント・ポール近くにあるスノウ・ヒル通りは父方の先祖が一帯の土地を所有していたことから名付けられた。
私立の寄宿舎学校を平凡な成績で卒業したジョン少年。夜学でAレベルを取りリバプール大に入るも、反アパルトヘイトを掲げた学生運動のリーダーとして数日間、校舎座り込みを行い退学処分に。その後ホームレスのチャリティ活動、海外ボランティアを経て、ロンドンのラジオ局に入社しジャーナリズムの道へ進む。
ITNのレポーター時代はイラン=イラク戦争、アフガン紛争などの取材で「ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」ほか数々の賞を受賞。ワシントン特派員を経て、89年から現職に。元BBC「ニューズナイト」「選挙結果報道」のキャスター、ピーター・スノウはいとこにあたる。
手練れた政治家、企業のトップを険しい顔で強引に攻め仕切る「ニューズナイト」のジェレミー・パックスマンに比べ、スノウはぐっとカジュアルなアプローチ。相手の意見をじっくり聞いた後、急所を狙う。どちらもねちっこいインタビュアーであることは共通していて、英ブロードキャスターの両横綱なのは間違いない。
BBCパックスマンのブランド力には負けるが、レポーターとしての技量はスノウが上。ついでにネクタイの派手さも上回る。