19年ぶりに行われるレッド・ツェッペリンのライブもあと数日と秒読みに入ったが、チケット争奪戦は凄まじいものだった。1枚120ポンド(3万円)にもかかわらず、延べ2500万人がウェブで応募。そこから抽選で1250倍の競争率をかいくぐった2万人の幸運なファンが10日、ツェッペリン様を拝める。
今回の公演は、昨年死去したアトランティック・レコード創立者アーメット・アーティガン氏へのトリビュートで、オリジナル・メンバーであるロバート・プラント(63歳・vo)とジミー・ペイジ(59歳・g)、ジョン・ポール・ジョーンズ(61歳・b)の3人に、亡きジョン・ボーナム(ds)の息子ジェイソンが加わる。ゲストにはザ・フーのピート・タウンゼントや元ローリング・ストーンズのビル・ワイマン、フォリナーらが出演。クリーンになった白髪混じりの御大たちが(昔はエイミー・ワインハウスやピート・ドハティーどころじゃなかった)、どこまで70年代プログレを再現してくれるのか疑問だが、ファンにとっては彼らのステージが見られるだけで僥倖(ぎょうこう)というもの。米国のアルバム売上が1億枚以上(他に1億突破はプレスリーとビートルズのみ)で、いまだ売れ続けているツェッペリン音楽。コアのファン層である戦後ベビー・ブーマーから子の世代へと「ロックの雛型」が確実に受け継がれている証拠だ。
同じO2アリーナ(元ミレニアム・ドーム)公演が発売開始38秒で完売したスパイス・ガールズをはじめ、ポリス、テイク・ザット、ザ・ヴァーヴと復活組はやたら景気がいい様子。嗜好が細分化されすぎたネット以降の音楽だとここまで盛り上がらないだろう。音楽にもリサイクル・ブームの波が来た。