「本番俳優」に降格
ヒュー・グラントなんか屁の河童、ジメっとした恋愛ものなら右に出る者がいないヤサ男、いやロマンチック俳優のレイフ・ファインズ。生っ白く痩せていて、草を食んで生きているようなイメージだ。
12年前の映画「イングリッシュ・ペイシェント」では、メイクなのだろうが頬をピンクに染めてはにかむ表情が女心を鷲掴み。人妻の不倫相手役を我が身になぞらえ、「彼となら地獄の果てまで行けるぅ~」と思わせる色男力があった。ナチス収容所の所長役でアカデミー助演男優賞を取った「シンドラーのリスト」や「クイズ・ショー」といった硬派の作品でも、やっぱり女のハンター本能を駆り立てる草食動物系フェロモンが立ちのぼる。額の生え際が後退した45歳の今でも、その威力は十分だ。
父は写真家、母は小説家、兄弟には俳優、音楽家、映画監督などがいる芸術一家の長男で、王立演劇学校、ロイヤル・シェークスピア・カンパニー出身。「ER緊急救命室」の女優アレックス・キングストンとの結婚時、18歳年上の舞台女優と不倫→離婚したことが世間を騒がせた以外は、シミ一点ない演劇エリートだったレイフ。「だった」と過去形なのは、去年のセックス・スキャンダルでミソがついたから。カンタス航空のキャビン・アテンダントが、レイフと寝たとタブロイドに暴露したまではよしとしよう。しかし、よりにもよってエイズ撲滅キャンペーンのためにボンベイに向かう往路、機内のトイレでコンドームなしセックスをしたことをバラされてしまったから、バツが悪いにもほどがある。
「本番俳優」のレッテルから当分の間は逃れられない。