次は主演映画のヒット狙い
1963年にスタートし、700話以上を数えるBBCの人気SFドラマ「ドクター・フー」。なんでもドクターは、惑星ギャリフレイから地球を守るためにやって来たタイム・ロードという地球外生命体で、心臓が2つある不死身のカラダ。年齢は903歳。2万歳と言われるウルトラマンには負ける。
このドル箱シリーズの名誉ある10代目ドクターを演じて、一気に知名度を上げたのが、スコットランド人俳優のデービッド・テナント(37)。元々は舞台出身で、初期の頃はロイヤル・シェークスピア・カンパニー(RSC)での「お気に召すまま」や「間違いの喜劇」など、コメディものを得意としていたという。先月、再びRSCで悲劇の王子ハムレットを演じ、各紙からこぞって高い評価を得ている。特に紙面1ページを割いた「ガーディアン」紙は、「これまでの中で最高級のハムレットを演じた。タイム・ロード役から苦もなく脱皮して、殻に閉じこもり復讐を誓う男、ハムレットになりきっていた」と手放しの誉めよう。
細長く尖った鼻梁に、尖ったアゴ、大きな上り目、薄い口の癇性顔に、それに似合った細い体躯と早口で高音の声。決して二枚目とは言えないが、あの眼力と滑舌の良さ、セリフに込める決断力・決意(=determination)は、観ているこちらを作品の方へグイッと引き込む念みたいなものがある。
年と共に味の出る晩成型ポテンシャルはありそうだが、フェロモン不足でジュード・ロウや007のダニエル・クレイグみたいにハリウッドの主役級はムリ。かといって脇ではちょっと持て余しそうで、今現在は中途半端な立ち位置のテナント。まずは、英国産映画の主演で当てるのが正攻法だろうか。