おっかさんプレゼンター
世代を問わず、英国で人気の女性パーソナリティといえばこの3人、ITV「ディス・モーニング」のファーン・ブリットン(51)に、チャンネル4「リチャード & ジュディ」のジュディ・フィニガン(52)、そしてGMTV 「LK トゥデイ」のロレイン・ケリー(48)だろう。現役のファーン始め、みな「ディス・モーニング」出身だ。
日本じゃ考えられないが、太っているからこそ得している女性司会者でもある。ふくよかな頬と三重アゴが温かみのある笑顔を、肉付きのいい体型が、気さくで包容力のあるイメージを作り出す。そう、お母さんだ。しかも現実にはいそうもない、善意100パーセントの「幻のお母さん像」。このお母さんになれないスリムな司会者たちは、20~30代前半まではいいが、それ以降の需要はプッツリ。ゾウイ・ボール、ウルリカ・ジョンソン、デニス・バン・オーテンなんか、一時、あれだけ人気があったのにテレビからすっかり消えてしまった。片や外見に頼らなかったお母さん御三家は、若い頃、ニュース・ジャーナリズムで足腰を鍛えていたのだった。
特に、顔も体型もいかつくてぱっと見、ドラッグクイーンのロレイン・ケリーは、労働者階級のグラスゴー訛とアカ抜けない大阪ミナミ系ファッションで親しみやすさが倍増。主婦、学生、ゲイ(雑誌「Boyz」の表紙を飾ったのが人気のきっかけとか)と、多様な層にファンクラブを持っている。
昨年までの3年間、学生選出でダンディー大学の学長を務め(俳優スティーブン・フライも元学長)、今年、法学の名誉博士号を授与されているロレイン。バブリーさの裏に、硬軟押さえた強かさを持つ、英国版肝っ玉母さんだ。