ブルーノ尻着地もシャレ
5年振りのアルバム「リラプス」=(悪癖・病の「再発」の意)が、本国米国を始め英豪仏日、アラブ首長国連邦(!)ほか、世界各国で首位を奪ったエミネム。日本のオリコン・チャート1位は、5作目にして初、洋楽ヒップホップのソロ・アーティストとして史上初という。ここ数年、薬物中毒から抜け出すのに苦労し、リハビリ中はエルトン・ジョンに電話で相談していたというが、年内にはもう一枚「リラプス2」を出す予定で、完全に前線復帰した模様だ。
エミネム、本名のマーシャル・マザーズ、歌詞に出てくるスリム・シェイディと名前をよく使い分けるコミックおたくが(来英時、同じくマニアであるジョナサン・ロスの家を訪れている)、マドンナやマライア・キャリー、ブリトニー、マイケル・ジャクソンらAリスト・セレブを片っ端から俎上に乗せ、また妻や母親殺し願望を詞にして物議を醸す。醸してなんぼがラッパーの信条だが、「ホモフォビア」と言われながらゲイのエルトンと友人であることといい、なんだか好きな慢画の中で何役も演じ分けている感覚。そこには36歳の大人の切実さはなくて、私小説というよりカリカチュア(劇画)。故に、徹底したプロと言えるかもしれない。但し、いつまでコマの中で反抗期の「悪ガキ」を演じられるのか疑問だが。
先月の米MTVアワードでは、、空中から降りて来た天使の翼を付けたブルーノ(サシャ・バロン・コーエン扮する豪出身ゲイのファッション評論家)が、エミネムの顔の上に剥き出しの尻を向けて着地。怒ったエミネムが席を蹴って退場し、大きな話題となった。しばらくして、すべて仕込みと判明し、シャレの通じるヤツだと安堵。
やっぱり「エミネム」で通してもらわなきゃ。