遅すぎたヒロイン
もはや「死に体」と揶揄されるほど、支持率低迷に歯止めが効かなくなった夫に反し、今、英国で最も賞賛されている女性といえば、ブラウン首相の妻サラ(46)。謙虚&聡明キャラが受けて、「A truly modern public figure」(「ガーディアン」紙)、「Hurray for sensible Sarah」(「デーリー・メール」紙)、「An icon of the New Modesty」(「デーリー・テレグラフ」紙)と右も左も大絶賛。皮肉にも、彼女の人気は沸点を迎えている。
そもそものきっかけは、1年前の労働党党大会。壇上に上がった演説前の夫に、「がんばって!」の不意打ちキスをし、聴衆を沸かせたのが始まりだ。これを機に、3児出産(最初の子は死去)で肥え太った野暮ったいオバサンのイメージが一転、「ブラウン首相の秘密兵器」として、積極的に表舞台に立つようになった。国連総会や、以前からのチャリティー活動を始め、グラストンベリー音楽イベント、女性誌の責任編集、オバマ米大統領夫人との密な親交と、労働党政府の看板娘として水を得た魚のごとくの活躍ぶり。現時点で彼女のツイッター・フォロワーは77万人を記録。俳優スティーブン・フライを抜いて英セレブ1位となった。ボリス・ジョンソン・ロンドン市長の4万7000人、デービッド・ミリバンド外相の2400人と比べてもその人気の凄さは歴然だ。
バッキンガムシャー、スコットランド、タンザニアを転々としたサラ少女は、両親の離婚後、ロンドンへ。カムデン女子校、ブリストル大と進み、数年の下積みを経て、級友と共に左系PR会社を設立。ゴードンとの結婚を機に辞めるまでは、有能な経営者だったという。
総選挙まで1年未満、もはやこれまでの労働党。いっそのこと出馬するか。