限界エロスに挑戦
満月の夜。檻の中で、裸と見紛う肌色のレオタードに身を包み、うつぶせになって尺取り虫のごとくお尻を上下。と思ったら、ビヨンセの腰フリとは趣(おもむき)異なる大振りの腰360度旋回、全身芋虫状くねくね。時折、遠吠えの効果音も聞こえる。これが、ユーチューブで既に1100万回以上視聴されているシャキーラ(32)の「シー・ウルフ」ビデオ・クリップ。狼女となって、「オーマイガーッ×3」の限界エロスに挑んでいる。
だけど、この方、「裸足の基金」を設立して、自国コロンビアの子供たちに靴1万足を寄付、国連から表彰されたり、ユニセフ親善大使として、米議会で発展途上国の基礎教育支援法案の通過を訴えたりしている。そう、非常に社会的意識の高い、歌手版アンジェリーナ・ジョリーってところ。オバマ米大統領の就任式記念イベントにも招かれて、U2ボノ以外では唯一の外国人アーティストとしてステージに立っている。
2001年、「ホウェンネヴァー、ホウェアエヴァー」が40カ国で1位を獲得し、150センチちょいの小柄な身体で激しく踊るベリーダンスと演歌ロック的な独特の歌い回しを印象づけたシャキーラ。2年前、同じ腰仲間ビヨンセと「ビューティフル・ライアー」で共演。マドンナ、セリーヌ・ディオン、バーバラ・ストライサンドに次いで、女性歌手の番付け4位と歌姫(ディーバ)の貫禄十分だ。
話を冒頭のビデオに戻すと、これでまた、肉体と踊りでもって合法的エロティシズムを表現するのが、女性ポップス・シンガーの一大使命であることが証明された(って、大げさ?)。少女のような未成熟さ=処女性が求められる日本とは正反対の価値観(倖田來未だってステージ以外は仕草・言動とも女の子系だ)。世界地図的にどの辺りで分かれるのか、インドあたりか。