だったら何? に窮する安全パイ
本名ビクトリア・ルイーズ・ロット。赤ん坊の頃、あまりに小さかったことから付けられた愛称「ピクシー」をそのまま芸名にしたのが、2週間前に19歳になったばかりの新進女性シンガー・ソングライター、ピクシー・ロット。昨年6月にリリースしたデビュー・シングル「ママ・ドゥ」で、いきなりチャート初登場1位を奪い、続く「ボーイズ・アンド・ガールズ」もトップ。最高位6位のアルバム「ターン・イット・アップ」は、17万枚売ってゴールドを獲得した(英国では、アルバム売り上げ6万枚=シルバー、10万枚=ゴールド、30万枚=プラチナ)。
日本でのキャッチ・コピーは、「プリンセス・オブ・ポップ」で、「かわいいだけじゃ物足りない! 圧倒的な歌唱力、才気溢れるソング・ライティング力、すべてを兼ね備えた新世代のガールズ・アイコンが遂に誕生!」だそうだ。ふーん。「かわいい」が万人ウケする日本ではいいが、こっちだと彼女のターゲット層はせいぜい小学生。あのハスキー声にプラチナ・ブロンド、背の低い中肉体型、自作自演と、2年前に流行ったダフィーとソックリだ。
ジャケ写はとーっても「かわいい」が、雑誌やテレビだと、ややトーン・ダウンするピクシー。リリー・アレンのような毒舌キャラも、リアーナやビヨンセみたいな濃厚セクシー路線も無理だし、かといって、マドンナに戸川純のエッセンスを混ぜたみたいな奇天烈レディー・ガガとはほど遠い。一体、これから何を売りにするのかとなったとき、答えに窮する。カイリー・ミノーグのキュート & セクシーはアリかもしれないが、あの完成度には相当の熟成期間が必要。ライバルのリトル・ブーツの方が一歩リードか。ミュージカルで子役をしていたというし、ここは女優転向を勧めたい。