今年は晴天が続く見込みと言われている英国の夏。つまり、これから英各地をめぐるには絶好の季節を迎える。
今回は、イングランド南東部にあるライを特集。古い歴史が今も生き続ける景色の間を海風がそっと吹き抜ける、この小さな街をめぐる旅を紹介する。
ロンドンからのアクセス:
キングス・クロス・セント・パンクラス駅、チャリング・クロス駅、ロンドン・ブリッジ駅などから列車で約1~2時間(ヘイスティングスやアシュフォードを経由)
ライってどんな街?
かつて海に面していたライは港町として繁栄していた。「岸辺」「魚市場」「人魚」といった、この街が海に面していたことを示す通り名がたくさんあるのはそのためだ。
13世紀前半までフランスの支配下にあったこの地をヘンリー3世が取り戻し、特権港に指定。ライの住人たちに海岸線の防衛を担うことを命じるのと引き換えに、免税や自治を認めた。14世紀前半に、主に高級品に対して関税がかけられるようになると、この地域には密輸業者が跋扈(ばっこ)するようになる。やがて海岸線が後退して港町としての機能が失われたことに加えて、フランスやスペインからの攻撃、黒死病の流行などの被害を受けて、この街や周辺の地域は没落していく。その後はまるでときが止まってしまったかのように発展を止めたため、街の至るところには、いまだ中世の趣が残っているのだ。
ゆっくり歩いても数十分で街全体を一周できてしまうほどの小さな街なので、ロンドンからの日帰り旅行には最適。廃墟のような佇まいの塔や城門、小石が敷き詰められた小道と、その脇に並ぶチューダー様式の建物を眺めれば、思わずタイムスリップしたかのような気持ちにとらわれてしまう。またアンティーク・ショップが軒を並べる河沿いでの買い物も楽しめるはずだ。
ライの地図
ライだけのものを求めてお買い物
せっかく遠出しても、視界に入ってくるのはロンドン市内でも見かける店ばかりというときほどがっかりすることはない。だが、ライではチェーン店らしきものが見当たらない。各店の店内には、ライだけでしか見つけることのできない宝物がたくさんあるのだ。
タイムスリップした気分になれる街歩き
歴史的建築物についての知識を事前に仕入れておけば、ライという街の散策がより楽しくなる。ホテルやカフェにまで古い逸話がたくさん残されているこの街を歩いていると、過去の偉人や風景が目の前に立ち現れてくるような錯覚さえ覚えてしまう。
絵葉書のような街並みを楽しむ街歩き
駆け落ち先からギャラリーに
Rye Art Gallery ライ・アート・ギャラリー
常設・特別展の開催及び展示物の販売を行っているギャラリー。この建物の一部は、1890年代にこの街に駆け落ちし、街の中心に立つ聖メアリー教会で結婚式を挙げたアーティスト同士が暮らした家だったそう。ギャラリーには絵画、彫刻、陶器などが展示されている。
写真)ギャラリーに入ってすぐが販売エリア、奥が展示スペースとなっている
107 High Street, Rye, East Sussex TN31 7JE
Tel: 01797 222433 無料
販売エリア: 10:30-17:00(日は12:00-16:00)
展示エリア: 木~月10:30-13:00、14:00-17:00(日は12:00-16:00)
www.ryeartgallery.co.uk
店内で織る姿が見られる
Plaristo Gallery プラリスト・ギャラリー
家族経営の編み物販売店兼アトリエ。店内の奥に置かれた織機を使って、日々作業が行われている。この店で織られ染められたラグやカーペット、靴下などに加えて、天然繊維を使用した毛糸玉といった商品を販売。また光るガラスやろうそくなど、店内には色彩豊かな商品が並ぶ。

写真左)鮮やかな色合いの商品ばかり。天然繊維を使った織物は優しい触り心地がする
写真右)店内に置かれた織機。作業している姿を見ることも可
55 The Mint, Rye, East Sussex TN31 7EN
Tel: 01797 222802
9:00-17:00
www.plaristo.com
品数の豊富さは圧倒的
The Quay Antiques and Collectables
ザ・キー・アンティークス・アンド・コレクタブルス
日本語で「岸辺」を意味するストランドの一画に軒を並べるアンティーク店の一つ。どの店も個性豊かな空間づくりをしているが、この店の無造作に置かれた品数の豊富さは圧倒的だ。用途さえよく分からないような不思議なものがたくさん置かれた空間は、まさに異次元の世界。
写真)店内には混沌とした独特の世界が広がっている。奥では商品の修繕作業を行う人の姿も
6-7 The Strand, Rye, East Sussex TN31 7DB
10:00-17:30
Tel: 01797 227321
廃れた家具の再生工場
Halcyon Days ハルシオン・デイズ
真っ白な扉を開ければ、白いペンキの容器がいっぱい。「チョーク・ペイント」と呼ばれる滑らかでつやのある特製の白ペンキを使って、各地の廃棄物入りコンテナや蚤の市で見付けた古びた家具を美しく再生させるというビジネスを営んでいる。再生させた家具やペンキなどを購入可。
写真)この店の目玉商品でもある、目が覚めるような真っ白なペンキで塗られた外観
Strand, Rye, East Sussex TN31 7DB
Tel: 01797 225543
10:00-17:00
www.halcyon-days-rye.co.uk
タイムスリップした気分になれる街歩き
小さいながらも見所がたくさん
Church of St Mary 聖メアリー教会
教会内にある鮮やかなステンド・グラスを眺めたら、入り口近くにある84段の階段を上ることをお勧めする。イングランドの教会で使われているものとしては最古の時計を見た後で、はしごのような細い階段を上って、8つの大きな鐘の保管場所へ。そのさらに上に行けば、街全体を見晴らす展望台に出る。

(写真右)聖メアリー教会のステンド・グラスは
比較的最近になって製作された
(写真上左)イングランドの教会に置かれているものとしては最古とされる時計
(写真上右)鐘が置かれた部屋
Church Square, Rye, East Sussex TN31 7HF
Tel: 01797 222318
無料(塔は£2.50)
9:15-17:15(冬季は16:15まで)
www.ryeparishchurch.org.uk
外国軍の侵入を防ぐ要塞
Ypres Tower イプラ・タワー
1249年に要塞として建てられ、その後は個人宅や牢獄として使われた塔。内部では拷問に使った機具や、密輸業者たちが船への合図に使ったちょうちんなどが展示されている。非常に小さい施設なので、内部の見学は数十分で済んでしまうはず。大砲が設置された、塔の南側の公共スペースから見渡す景色も美しい。

写真左)威圧感のある外観だが内部は意外と狭い。聖メアリー教会のすぐ裏手にある
写真右)聖メアリー教会の南側の小道にはチューダー様式の建物が並ぶ
Gun Garden, Rye East Sussex TN31 7HH
Tel: 01797 226728
10:30-17:00(冬季は10:00-15:30)
£3
www.ryemuseum.co.uk/home/ypres-tower
密輸業者たちの溜まり場だった
The Mermaid Inn マーメイド・イン
小石が敷き詰められたマーメイド・ストリートの中央にあるパブ兼ホテル。地下には創業年である1156年につくられた貯蔵室が現存している。かつてこの街のすぐ近くにまで海岸線があった時代に跋扈した密輸業者たちの溜まり場として使われていたのだという。暖炉と深紅のじゅうたん、白い天井に交差する黒い梁で構成された内部は中世の雰囲気たっぷり。

写真)宿泊客でなくともパブを利用可。またこのホテル内の各所では幽霊が出るとの噂も
Mermaid Street, Rye, East Sussex TN31 7EY
Tel: 01797 223065
一泊£90~
www.mermaidinn.com
米作家ヘンリー・ジェームズの住み家
Lamb House ラム・ハウス
歴史的建築物を保存する団体ナショナル・トラストが所有する建物。この家を建造させたワイン商人の名字を取って名が付けられた。「ねじの回転」などの名作を残した米国人作家ヘンリー・ジェイムズが暮らした家として知られており、彼はこの家でH・G・ウェルズやジョセフ・コンラッドといった英作家たちとの交遊を深めたという。
写真)ヘンリー・ジェイムズが暮らした家は、聖メアリー教会に続く道の上にある
West Street, Rye, East Sussex TN31 7ES
Tel: 01580 762334
£5
火・土14:00-18:00(冬季は閉館)
www.nationaltrust.org.uk/lamb-house

ライ版「兵どもが夢の跡」
Landgate
ランドゲート
街の西端にある大きな門。1329年に当時のイングランド王であったエドワード3世が、街の要塞化を強化するために資金を与えて4つの門をつくらせた。このうち唯一現存するものがこのランドゲートであり、かつては落とし格子や跳ね橋も付設されていたという。入場することはできないが、門の上部の内側には部屋がある。
写真)今でもこの門の下を人や自動車などが通過している
Fletcher's House Tearoom and Restaurant
聖メアリー教会の目の前にあるカフェ&レストラン。シェイクスピアに匹敵する才能の持ち主と言われたライ出身の劇作家ジョン・フレッチャーの生家であり、黒い梁がむき出しになった天井にティー・カップが吊り下げられているインテリアは一見の価値あり。奥にはテラス席があり、日替わりメニューとなる自家製のスープは美味。
2 Lion Street, Rye, East Sussex TN31 7LB
Tel: 01797 222227 水~月10:00-17:00
www.fletchershouse.com
Ye Olde Bell Inn
15世紀に建造された建物内にあるパブで、かつては密輸業者たちがたむろしていた。店名は、14世紀後半にこの街を襲撃したフランス人たちが聖メアリー教会の鐘を盗んだという逸話から付けられたもの。地元で生産された食材を調理したサンデー・ローストやタパス、サセックス地域のエール・ビールを提供している。
33 The Mint, Rye, East Sussex TN31 7EN
Tel: 01797 223323
11:30-23:00(日は11:00から)
www.yeoldebellrye.co.uk
Knoops
チョコレート・ミルク・シェイクとホット・チョコレートの専門店。暑い日には、近隣でこの店のシェイクを飲んでいる通行人を絶えず見かけるほどの人気ぶり。シェイク内のチョコレートの含有率に加えて、同じチョコでもダークかホワイトか、各種フルーツのすり下ろしをトッピングするかどうかなどを好みに合わせて選択できる。
Tower Forge, Hilders Cliff, Rye
East Sussex TN31 7LD
Tel: 01797 225838
10:00-18:00
www.knoops.co.uk
The Apothecary Coffee House
17世紀にロンドンで流行したコーヒー・ハウスの雰囲気を再現したカフェ。また「薬局」を意味する店名が示唆する通り、薬箱をインテリアとして活用するなどの趣向が凝らされている。オリジナル・ブレンドのコーヒーやアフタヌーン・ティーで一服するには便利。サンドウィッチやペストリー類も充実している。
1 East Street, Rye, East Sussex TN31 7JY
Tel: 01797 229157
9:00-17:00
www.apothecaryrye.co.uk
ライ近郊の街
ライは海と田園地帯に囲まれているため、周辺をドライブするのも楽しい。またライの街自体は非常に小さくすぐに一周できてしまうため、朝早くから出掛けた場合は、隣町へと出掛けるのも良いだろう。バスは1時間に1本の頻度で運行している。
ライと並ぶ歴史的な街
Winchelsea ウィンチェルシー
13世紀後半に街全体が海の中へと沈んでしまった後に、ときの国王エドワード1世の勅令によって再建されたという街。周囲には、英国の国民的画家であるJ・M・ウィリアム・ターナーが描いた田園風景が広がる。街の中心にひっそりと立つ聖トーマス教会や、かつて砦として使われていたストランド・ゲートなどが見所。
100番のバス(Conquest Hospital行き)で約10分
「金の砂」の美しさは見事
Camber Sands カンバー・サンズ
ライの南東側に位置する一帯で、ロンドンから日帰りで行ける範囲では最も美しい海辺の一つとして知られている。イースト・サセックス地域で唯一の砂丘があり、「金の砂」と形容される美しくそして広い砂浜は絶景。ウィンド・サーフィンやカイト・ボーディングなどの水上スポーツはもちろん、砂浜では乗馬なども行われている。
100番のバス(Lydd Camp行き)で約10分



在留届は提出しましたか?






ソ連になじんだ外務省エリート
最もスパイらしくないスパイ
MI6長官候補にまでなった野心家
王室と深くかかわった美術史家



左)ウィンブルドンにある室内練習場で実践練習を行うBGGたち






















今回参加したのは、ストラトフォード・アポン・エイボン近郊で約15年にわたりナロー・ボート運営をしているというアンディーさん、淳子さんのブラウン夫妻が経営を行う「Narrowboat Guide」。ときに河岸を散歩し、ときにお2人からナロー・ボートの歴史や面白エピソードをうかがいつつ紅茶やコーヒーを味わう船旅は、のんびりゆったりしているのにあっという間に時間が過ぎてしまう。街の観光と併せてショート・クルーズを楽しむも良し、宿泊コースで地元のパブの夕食を楽しみながら船上で一夜を過ごすも良し。古き良きイングランドの水辺の生活を、ここストラトフォード・アポン・エイボンで垣間見てみては?








ウィリアム・シェイクスピアは1564年4月23日、イングランド中部ウォーリックシャーに位置するストラトフォード・アポン・エイボンでその生を受けた(*1)。父のジョンは皮手袋職人で、羊毛取引などで財を成し、後には町長にまで登り詰めた地元の名士、母のメアリー・アーデンは、ジェントリー(紳士階級)出身。恵まれた環境で育ったものの、父親はシェイクスピアが10代前半のころ、地位も財産も失ってしまう。1582年には18歳で近隣の村ショッタリーにある農家の娘で8歳年上のアン・ハサウェイと結婚。3人の子供に恵まれたが、20歳のときに突如姿を消し、数年後にはロンドンの劇壇で活躍するようになる。


エイボン川を臨み、街を睥睨(へいげい)するレンガ造りの堂々たる建物は、英国が誇る劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが拠点にしている劇場。大・中・小の劇場を抱え、シェイクスピア作品はもちろん、現在はロンドンで上演中の「マチルダ」など子供向けのミュージカルなども制作している。観客の目と鼻の先で役者が演技を繰り広げ、ときに観客に語り掛けることもある張り出し舞台は迫力満点だ。
現在上演中の芝居の大道具もそのままの舞台裏から客席、最高責任者が使用するコントロール・ルームに至るまで、劇場の隅から隅まで見ることのできる人気のツアー。芝居で使う血液や、役者の驚くべき早替えの秘密など、シェイクスピア・ファンでなくても満足できる充実の内容だ。
劇場上部に位置し、界隈を一望できるブリティッシュ料理レストラン。美しい盛り付けの料理の数々に舌鼓を打った後に芝居を観れば、身も心も満足できるはず。なお、壁の上部に3脚の椅子が貼り付けられているのが目につくが、これは改築前の劇場の客席をそのままの位置で残しているのだとか。
街のシンボル的存在であるこの建物内でシェイクスピアは生まれ、結婚後数年して引っ越しをするまでの年月を過ごした。隣接するシェイクスピア・センターで世界各国のシェイクスピア関連書物やアートを観てから家の内部へ。庭では当時の衣装に身を包んだ役者たちが即興劇を繰り広げている。ときには観客も参加して、家の2階と庭で「ロミオとジュリエット」の一場面を演じることも。
シェイクスピアの妻であったアン・ハサウェイの生家。こんもりと曲線を描いた茅葺屋根にハーフティンバーの壁面がチャーミングな家と広々としたガーデンが、牧歌的な風景をつくり上げている。花々が咲き誇るガーデンには、柳の小屋や、現代的な彫刻の数々も。シェイクスピアにヒントを得て作曲されたという音楽を聴きながら*、遊歩道をゆっくり散策してみよう。
シェイクスピアの長女スザンナは1607年、地元在住の医師ジョン・ホールと結婚した。医者の家だけあって、内部には診察室があるのに加え、調薬器具、医療書などのユニークな展示物も。静けさに満ち、整然としたガーデンには、当時は治療にも利用されていたというハーブなどが植えられている。
シェイクスピアが通ったとされるこの学校は、1295年創立の教育施設をエドワード6世が16世紀に再設立したものなのだそう。ブレザー服姿の生徒たちが闊歩し、バンドの音楽が鳴り響く校舎は、外から見る限りほかの学校と何ら変わりないが、シェイクスピアが学んだという教室(ビッグ・スクール)は、当時の面影そのまま。ごく限られた期間のみ一般公開され、現役の生徒のガイドで見学することが可能。
ナッシュの家は、シェイクスピアの孫、エリザベスが最初の夫、
トマス・ナッシュとともに住んだ家。ニュー・プレイスはシェイクスピアが晩年を過ごした家だが、18世紀に当時の持ち主が観光客の多さに辟易して取り壊してしまったため、現在見学できるのは低木を結び目のように交錯させたノット・ガーデンと、戯曲をモチーフにした彫刻が置かれたガーデンのみ。彫刻の裏側には台詞の一部が彫られているのが興味深い。

16世紀に建造された建物を利用した、地元民にも人気の高い落ち着いた雰囲気のレストラン。観劇前にはセット・メニューがお勧め。味もプレゼンテーションも抜群の料理をお手頃価格でいただける。
真紅の壁とシャンデリア、アンティーク家具が絶妙に溶け合ったこの店は、近年オープンしたばかりだが、既に地元では味の良いレストランとして名を馳せている。鮮やかな赤がまぶしいビートルートのリゾットなど、料理にもセンスの良さが感じられる。
City Sightseeing Stratford Upon Avon






日照時間が延びるこれからの季節、英国を飛び出して、
19世紀まで、貿易の中心地として栄えたマルセイユ。旧港の南の丘、147.85メートルの高台にノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Notre-Dame de la Garde)はそびえる。現在の寺院は19世紀に建築家エスペランデュによって建てられたものだが、歴史をたどれば基となった寺院は、1214年に丘の上に建てられていた。今年、誕生から800年を迎える。寺院の上には黄金に輝く9.72メートル、重さ約1トンの聖母マリア像が町を見下ろすように立っている。この黄金に輝く聖母マリアは「ボンヌ・メール(良き母)」と呼ばれ、これまで漁を、町を、そして住民を見守ってきた。内部のモザイク装飾は圧巻。内部には天井から幾つもの船がつる下げられていたり、海にまつわる絵画などが飾られていたりと、漁や平癒に対する感謝の気持ちから納められた奉納品が飾られている。ここから見るマルセイユは絶景。市内から徒歩で来るには、かなりの坂道を登ることになるので、バスが便利。
20世紀最大の建築家と言われるル・コルビュジエが建てた巨大な集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。中でも一番初めに建てられたマルセイユのユニテ・ダビタシオンは、今日でも世界中の人を魅了している。
マルセイユのせっけんは、植物性のオイルと苛性ソーダを混ぜたもの。ルイ14世の時代の1688年10月5日、財務総監を務めていたジャンバティスト・コルベールにより、原料の油脂はオリーブ・オイルにすることなど、マルセイユのせっけん作りの製法が定められた。現在でも伝統的な方法で作られているマルセイユせっけんは、72%の植物オイルを含んでおり、かま炊きけん化法で植物オイルとソーダを煮詰め、その後、塩水で不純物を取り除くなど、約80時間の行程を経て生み出されている。



マルセイユのアペリティフとして欠かせないのが、マルセイユ生まれのアルコール、「パスティス(Pastis)」だ。パスティスの前身とも言われるのが、19 世紀、フランスの芸術家たちを魅了したアルコール「アブサン」。強い陶酔感と興奮をもたらすアブサンは、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ロートレック、ランボー、ボードレールなど、フランスにいた多くの芸術家を魅了した魔のお酒と言われている。しかし20 世紀に入りアブサンの製造が禁止され、その代わりにポール・リカールがアブサンの製法を改良して作ったのがパスティスだった。スターアニスやフェンネル、リコリスの香辛料が強いため、スーッとした後味が爽快感を与える。ちなみに「Pastis de Marseille(マルセイユのパスティス)」と表記するためには、アルコール度が45% 以上で1リットル当たり、2 グラム以上のアネトール(アニスの主成分)が含まれていなければならない。パスティスは水割りで飲むのが一般的で、水を入れると白く濁るのが特徴。慣れてきたらカクテルにも挑戦しよう。有名どころでは、グレナデン・シロップ(sirop de grenadine)を加えたLa tomate、ミントのシロップ(sirop de menthe)を加えたLe perroquet など。
ロンドンからマルセイユまでは飛行機の直行便を利用するのが便利。ロンドンの各空港からマルセイユ・プロヴァンス空港までは格安航空便も飛んでおり、約2時間で到着する。同空港から市内までは、シャトル・バスでマルセイユ・サン・シャルル(Marseille-Saint-Charles)駅まで約30分、またはタクシー。


自身の離婚問題を理由にカトリック教会から離脱したヘンリー8世。彼の4番目の妻であるアン・オブ・クレーヴズに離婚条件の一つとして与えられたのが、この木造の邸宅だった。だがアン元王妃自身がこの家を訪れたことはなかったという。チューダー朝の様式を忠実に再現した庭園には独特の風情がある。16~18世紀にかけてイングランド南東部で盛んだったという製鉄の技術に関する展示も充実している。
万有引力を発見した科学者アイザック・ニュートンの先祖が所有していた邸宅とその広大な庭が、現在では一般開放されている。ガーデンの中心部には小川が流れ、廃墟のような囲いに仕切られた芝生の上には水仙やダリアが眩しいほどに咲き誇る。ランチを食べたり、お昼寝休憩をしたりするには絶好のスポット。
毎週数千人単位が訪れるという蚤の市。翼を付けた女性の姿が彫られた戦没者記念碑の近くにある、かつて教会として使われていた建物の中で毎日開かれている。各種の家具を中心に、動物の剥製、アール・デコの置き時計をはじめとする骨董品が並ぶ。思わず悲鳴や笑い声を上げてしまうような変わり種の掘り出し物にもきっと出会えるはず。
それぞれパティシエとディスプレー・アーティストとして働いていた2人が立ち上げたヴィンテージ・ショップ。アンティークなのになぜか最先端の流行を押さえていると感じさせるようなセンスある商品ばかりが並ぶ。経営者の2人は小型トラックに乗って欧州各地の蚤の市を1年中周っていて、「こんなアンティークを探している」という買い付けの要望にも応じてくれる。
第一次世界大戦中には注射針を製造する工場が置かれていたという敷地を転用した複合施設。ハンドメイドのジュエリー、ヴィンテージ服、手芸品などをそろえたショップ、ギャラリーに加えてカフェも併設している。レンガの壁、地下にある井戸、そして色鮮やかな雑貨の数々に彩られた店内にいると、童話の世界に紛れ込んでしまったかのような感覚を覚える。
手前にインテリアやキッチン用品、店の奥にガーデニング用のアンティーク製品を配置している。カフェやレストランが多数並ぶ通りの入り口に位置しているので、アンティークにあまり興味のない同伴者を近くで休憩させたりする際には好都合。
ルイスの地ビールとして有名なハーヴェイズのビール醸造所に隣接したショップ。創業してから200年以上の歴史を誇る家族経営のブランドで、当代は8代目。醸造所の見学ツアーの予約が2年先まで埋まっているという信じられないほどの人気ぶりを見せている。ショップではハーヴェイズが製造する各種ビールを購入することができるほか、同社が販売を手掛けるワインや蒸留酒もそろえている。
その名の通り、15世紀に建造されたという建物の中にある古書店。児童書や挿絵付きの本を多く取り扱っている。同店の入り口から延びていく小石が敷き詰められた小道の風景と、頭を屈めなければ入ることができないほどの低い天井、そして店内に並んだメルヘンチックな本の数々が非日常体験を与えてくれる。
陶器の里として知られるポーランド南西部ボレスワヴィエツから取り寄せた陶器を扱う店。深みのある紺色を使ったデザインは、目に安らぎを与えるような温かな美しさを醸し出している。バター入れやソース差しまでかなり多種の商品をそろえているので、英国の食卓を飾るアイテムが見つかること間違いなし。併設カフェでは、それらの陶器を使ってピエロギやビゴスといったポーランドの伝統料理が供されるという贅沢なおもてなしをしてくれる。
ロンドンをはじめとする英国各地で見かけるレストラン・チェーン「ビルズ」の第1号店。最初は果物や野菜を販売する屋台としてスタートしたが、2000年に発生した洪水の被害で営業停止に。翌年にレストランとして開業したところ大ヒットし、全国展開するに至った。気軽なカフェ・スタイルで朝食からディナーまで楽しむことができる。
ウーズ川を渡る橋の付近にあるカフェ兼レストラン。シチューやパスタといった定番メニューに加えて用意される「本日のお勧め」はいつも美味。テイクアウェイもできて、ほかの多くの独立系店が閉業となる日曜日でも営業しているのがうれしい。
1605年にカトリック教徒の過激派によるロンドンの国会議事堂を舞台としたテロ未遂事件が発生。以来、11月初旬に平和を願って花火を打ち上げたり、実行犯の一人であるガイ・フォークスを模った藁人形を燃やしたりする習慣が定着した。ルイスは毎年、英国内で最大規模のガイ・フォークス・ナイトを開催。プロテスタント色の強い地域であることや、ルイスの戦いで諸侯が王に勝利したことから民主主義を脅かすテロ事件への強い反発が生まれたなど、ルイスがこのイベントを盛大に祝うようになった理由については諸説ある。






